ここ数年、山岳宗教とか修験道が気になってて、展示があると聞けばあちこち行ってるんですが、白山開山1300年記念の特別展を北陸のあちこちでやってるのを知り、これはいい機会だとレンタカーを借りて1泊2日で巡ることにしました。
サンダーバードで9時に着いた敦賀駅は冷たい雨だった。
大阪の生ぬるい気温に慣れきった身には厳しい冷えに、レンタカーまで小走りになる。
しかし高速を使って越前町へ向かうと、空は次第に晴れてきて、柿の木に実がなり、刈り取りの終わった田んぼや古い家、色づいた山の風景は、どこか奈良の田舎に似ていて、
「奈良やー」
「奈良やなあ」
と会話した。
なんか懐かしさを感じる田舎の好ましい風景を奈良っぽいと言ってしまう我々。
秋の色ってなんで目に快いんだろう。ドライブだけを目当てにまた訪れるのもいいなと思うくらいだった。
最初に到着したのは越前町織田文化歴史館「異人研究 泰澄11の疑問」展。
白山を開山した泰澄の研究を、「泰澄は実在したのか?」に始まる11の疑問にまとめて、パネルで展示している。
一見して凄い面白そう。だけどかなり文章量が多い。この場で読み切れる気がしない。しかもパネルに載せきれなかった研究は図録にって書いてある。
圧倒的な熱量を感じる。
これは図録を買うしかなかった。
展示では十一面女神像をこちらで見ることができた。
女神像の頭に十一面観音みたいに化仏がついている、まさに神仏習合!って感じ。
大きさも木を削ったあとが見える顔つきもそれぞれがちょっとずつ違う。
日吉神社の如来形坐像は現状では顔がなく、ぐるぐると筋というか彫りあとなのかがあって、一見してすごく異様な姿だった。顔の中心に節があって、元々顔がはっきり彫りあらわされてなかったのではないかと図録には書いてあった。
それから林光寺の新出の御本尊阿弥陀如来とか。
劔神社の国宝梵鐘もこちらで展示していて見ることができた。
せっかくなので隣の劔神社に参拝…しようとしたら、大雨。
神社に行って雨が降っても晴れても、おっ歓迎されてるなって思う性質ですが、これは激しかった。そしてからっと晴天。

ここでは、縁を切りたいことをかわらけに書いて割るらしい。朱で剣が描かれている。

縁を切りたいものが特に思いつかなかったのでやらなかったが、あとで関節痛って書いてやっとけばよかったなーと思った。
この日の最後に、福井から白山に登る拠点となる越前馬場の平泉寺白山神社に行く予定だったけれど、時折強い雨が降ってくるし時間も足りなそうなので、この時点でとりやめることにした。
考えてみれば、ここから泰澄の最初の修行地であり、入寂の地でもある大谷寺に行くという手もあったなー。でも時間がやっぱり厳しかったかな。
また次回の楽しみにまわすことにする。
1時間ほど走ってみくに龍翔館へ。

外観は近代建築っぽいのに中は新しくて、あれ?と思ったら、明治時代の龍翔小学校の外観を復元した建物らしい。
デザインしたのはM・C・エッシャーの父親だそうで、それにちなんでか上の階ではトリックアートを展示していた。
港にある丘の上の洋館風博物館て、なんかポテンシャルが高いな。
展示はまず特別展示室に入る前にある三国祭りの弁慶と牛若丸の大きな人形が乗った山車に、でっかい!と度肝を抜かれる。
ここでは「豊原寺・東尋坊と白山へのまなざし」展をやっていた。
泰澄開基の豊原寺は室町時代までは三千坊と言われるほどの規模があったらしく、興福寺のお坊さんの日記『大乗院寺社雑事記』にも動向が出てくるそうで、それ今年『応仁の乱』で読んだやつ!となった。
ここでは古文書、豊原寺跡からの考古資料と、國神神社の白山参詣曼荼羅などが見られた。山の間に噴火が描かれてて、絵解きでは噴火はどんな風に語られたんだろうなーなんてことを考えた。
あと豊原寺の平安時代の木像薬師如来像とか。
「深蛇龍仙洞」というかっこいい扁額が印象に残った。深沙大王を祀っていたらしい。
展望室に上がると九頭竜川の河口が見られた。山も見えたけど、白山がどれかは分からなかった。

せっかく港の方まで行ったので、お昼は近くの店で海鮮丼。あら汁と小鉢もついてけっこうボリュームあった。

お昼を食べて福井市へ移動し、福井県立歴史博物館の「泰澄」展へ。
タイトル通り泰澄についてのバランスのいい内容の展示だった。
泰澄と二行者像、泰澄のお顔が斜め上を向いてるのが印象的。白山垂迹曼荼羅の、描かれた泰澄が顔を傾けてるのをそのまま表現しているらしい。
仏像では金剛童子と不動明王が特に印象に残った。金剛童子は行者を守る守護神として独立して信奉され、厨子に収めて修行場まで運ばれたと伝えられているそうだ。
あと、ここでは大きな写真パネルの白山が美しくて、ここいらの人は遠い昔からこの美しい山の姿を見ながら生活してきたんだなーという実感でしみじみした。
図録を買う時、2014年の白山曼荼羅展の図録も並んでて、ぱらぱらめくったら面白そうだったので一緒に買って来た。

博物館のカフェで休憩してから福井市郷土歴史博物館へ。
常設に「福井市の霊山文殊山」の展示がちょっとあって、越前市の大虫神社に泰澄大師像として伝わった、泰澄寺の僧形神像があった。
常設を見てから、隣の養浩館庭園へ。

JR大阪駅にこの庭園の美しいポスターが貼ってあって、気になっていた。福井藩主松平氏の別邸だそう。
書院に入ると水面が近いのに驚いた。

茶室ではお茶会があったようで、着物の方が何人かいらして、着物姿を見るのが好きな自分としてはけっこうほくほくとしていた。

1日の行程を終えて、予約した山代温泉のビジネスホテルに向かう途中、雨がかなり酷くなり、なんかずっと先頭で対向車のライトと濡れた路面からの反射でかなり見えづらくだいぶ怖い思いをしたので、無事に到着してほっとした。
夕食はホテルの近くのかどや喰堂で創作カツ丼。

スパイシーチーズカツ丼を頼んでこれはこれで美味しかったけど、旦那の食べてた醤油カツ丼が匂いからして美味しそうで、そっちにすればよかったーと地味に後悔した。
醤油カツ丼て福井の方の新しい名物らしいけど、多分これ絶対うまいやつ。
色々と見て運転して疲れていたので早めに就寝。

