チルドレン【感想】

読書

『チルドレン』伊坂幸太郎

 短編小説のふりをした長編小説とか。
 確か『ラッシュライフ』の中で、銀行に強盗が立てこもっているというニュースが流れていたけれど、それがこの『チルドレン』の最初の話、「バンク」と繋がっているんだろうか。

 5編で中心となるのは、躁的な言動で、後に家庭裁判所調査官になる陣内。おしゃべりで突拍子のない行動で、音楽を愛していて、何か親子関係に対して思うところもあるようだ。
 けれど、彼が主人公というわけでもない。5編のそれぞれの語り手も、この『チルドレン』の世界の中心にいるわけではない。主人公の不在。というよりも、それぞれにとってはそれぞれが主人公なのだという印象。

 家庭裁判所調査官という仕事柄、少年問題、家族関係が語られる。奇麗事だけでは終わらせず、家族問題の、根の深さとかわけのわからなさとか関わるものとしてはあーそうなんだよなーと頷ける。

 もんのすごいトリックがあるわけでもないけれど、ちょっとしたサプライズが準備されていて満足度は高い。
 「チルドレンII」のラストはもう大好き。

 伊坂さんの作品を読むたびに思うんだけど、「爽やか」っていう言葉はなんで使うのが恥ずかしいんだろう。広告とかメディアとかで「爽やか」という言葉があふれすぎているからだろうか。
 あったかくて、いい風が吹いて、まわりのものごとが皆好きに思えるそんなひととき。これを読み終わった時の気持ちを爽やかって呼びたいんだよー。