京都駅の近くの映画館で、ヘルツォーク傑作選をやっていると聞いて行ってきました。
高校生の頃、思春期をこじらせてあまり良くない方向に思考が偏りがちだったのですが、たまたまTVで深夜にやっていた『カスパー・ハウザーの謎』を見て価値観が180度変化してしまうような大きな影響を受けまして……まあつまり私はヴェルナー・ヘルツォークのおかげで、こういう人間になってしまったわけで、思い入れのある監督なのです。
というわけで、レンタルで『ノスフェラトゥ』を借りてきて見たりしていたのですが、とうとういてもたってもいられなくなって、『キンスキー、我が最愛の敵』と『フィツカラルド』を連続で見てきました。
1本目は、亡くなった俳優クラウス・キンスキーをヘルツォーク監督が語るドキュメンタリ。
出演作の映像を取り混ぜつつ語られるキンスキーはエキセントリックで自己中心的でいつも怒鳴っていて、そしてフィルムに焼き付けられたその存在感は格別。
きっと何度もぶつかってうんざりして、殺したいくらい憎むこともあって、共に喜んで、理解して、理解を放棄して、最後にたどり着いた「我が最愛の敵」という言葉。
現場を放棄しようとしたキンスキーに対して監督が「8発お前の頭に撃ち込んで、最後の1発で自分を撃つ」ってそれなんて無理心中。
それから、エキストラで出ていたインディオの族長が2人監督の元にやってきて、「監督のためにあの男を殺しましょうか?」って持ちかけてきた話とか。面白い。
監督も俳優も2人とも狂気という言葉で表現されることが多いけど、その器のぶつかり合いというのがすごかったのだろうなー。
で、映画を見た日の夜に寝てたら「私はあの狂気を最後には飼い慣らした」って監督の笑いを思い出してぞくっとした。
画面の外で何が起こったとしても、「フィルムがすべてだ」という言葉も。
そういった激しいぶつかり合いを語りつつも、選ばれた場面はキンスキーの繊細なやさしさや穏やかさが表れた場面も多くて、監督の愛惜を強く感じる。
共演した女優が語るキンスキーの魅力的なこと。
で、これを見た後の『フィツカラルド』がまたよかった。
主人公のフィツカラルドは、ペルーの田舎町にオペラハウスを建てるという夢を持って、資金繰りのために……紆余曲折あって、船で山を登る映画。
夢は狂気と紙一重。ロマンとかいうならこのくらいやってみせろ! と指を突きつけられたような……こんなの大好きだ!
ドキュメントを見た後だと、主人公のフィツカラルドは、ヘルツォーク監督とほとんど同一視できるなあ。
インディオとのシーンなど本当に面白い。
そして、最後の船のシーンのキンスキーの表情が本当にいいのです。

