昔の日記をあさっていたら、ミューリエル・スパークの感想を見つけたので、サルベージ。
『ポートベロー通り』(ミューリエル・スパーク/教養文庫)。
スパーク幻想短編集という副題。
幻想ってジャンルがいまだによく分からないんだけど、幻想らしきものを読む時、小説の可能性を感じる……こんな楽しみ方があるのか、と目を開かされる感じ。
適度におかしく、押し付けがましくなく、それでいて時折胸をえぐる断片があり、そしてうつくしい風景を見せてくれる。
登場人物たちが、のんびりしているのも私の性に合う。幽霊が、遺言の処理や何か雑事のためにこの世に残って、ウィンドウショッピング中に見かけた自分を殺した男に向かって「こんにちは!」と挨拶するなんてのんきな発想にはなかなかお目にかからない。
好みは「落ち葉掃き」、全然悲しくない「悲しい冬物語」、美しい美しい「リマーカブルという名の劇場」。
何度でもこの世界に戻ってきて、改めて味わいたい掌編たち。
