北村薫さんが大学で行った授業の一部が活字化された本です。かなり読み応えがあります。
まえがきを読んだだけでも、一方的に教わるだけでなく、学生が主体的に考える機会が多く取られた魅力のある講義だと思います。
自分をかけて読むということ、知識が繋がっていく快感、人に話を聞くことの魅力、自分で考えるということ……大切なことがぎっしりつまっています。
読んでいると、講義を受ける学生を、読者を惹きつける引用の上手さも改めて感じます。
何故ここでこれが引用されるのだろう、と興味が自然とわいてくるのです。
印象に残った部分をちょっとメモ。
定評を追いかけたり、弱々しくごく常識的な判断だけをしているなら、それは自分をかけて読んでいることにはならない。
実際、普段あまり深く考えずにただ流し込むような読み方をしているのを、反省させられました。
常に自分をかけた読み方をする、というのもまた難しいのですが、もし何かについて語るならば、語る言葉に責任を持てるような読み方をしたいものです。
最後の章で赤木かん子さんの書かれた手書きの文章が載っていましたが、活字で何かを読んだときにぴんとこなかった赤木さんの言い回し、文章が、手書きだと凄く腑に落ちて驚きました。
分からないものを、ただもう全否定するのではなく、敬意をもって見つめてみると、そこから何かが見えてくるかも知れません。
優しい言葉です。これは分からない、と思ったら思考停止してしまう癖があるので、見直さねばと思います。
しかし、この優しい視線のまま、とあるものを「無残だと思いました。」とばっさり斬る。
この切れ味がまたしびれます。
それから、読んでいて何人かの歌人の歌集が読みたくなりました。
特に高瀬一誌さんの歌集はどこかで入手したいと思います。

