落下の王国(ほぼ別の映画の話)

映画

 映画「落下の王国」を見てきた。

 何年も前に触れた物語の内容を、時折思い出してはついつい考えこんでしまうことがある。
 これは3年前に見た別の映画の話だ。

 主人公は事故で首から下の自由を失った男。
 彼は、自由に生きられないのなら生に意味はないと、自殺する権利を求めて裁判を起こす。
 自殺するためには、他人の力を借りなければならないから。

 カトリック信者が多数を占めるその国で、そんな主張が認められるわけもない。

 そして、彼は最後に、あまり賢いとはいえない女性を愛情でもって利用して、目的を遂げる。

 自殺が悪いとか悪くないとかいう話ではなくて、その映画の読み解き方はいくつかある。
 例えば主人公はその国の中でも貧困層の多い地方で、貧しい家に暮らしている。つまりそこで姥捨て山ですよ。けれどその家族はカトリック。宗教と愛に縛られている。
 主人公と、働けない者を抱えた貧しい家族が生き難いその国の社会状況を強烈に批判してもいる。
 そんな描写がありつつも、描かれる風景は美しく、人々の眼差しは穏やかで。

 いい映画か、と聞かれたら、うんと答えるしかない。
 けれど、私は主人公が気に入らない。自ら死ぬために使った手段が気に入らない。
 穏やかな目の人が自ら死を選ばなければならない状況が気に入らない。

 だから私は、

 でたらめでもありきたりでもいいから、物語が人を救うところが見たかった