ピープス氏の秘められた日記

読書

 サミュエル・ピープス(1633-1703)という人は、仕立て屋に生まれながらも海軍の大臣にまでのぼりつめた官僚。
 その名を残したのは、その業績ではなく、1660年からの約10年間、20代後半から30代後半にかけて、公的・私的を問わず生活を緻密に、赤裸々につづった日記の存在でした。

 ピープスは日記を他人に読まれないように、暗号(?)やらいろんな国の言葉やらを使って書いていたそうで、つまり、人に読ませるためのものではないんですね。本当に自分のためだけの日記。
 なので、文学的価値よりも、歴史的価値のほうがずっと高いもののようです。

 以上をふまえて、本書は、ピープスの日記を年ごとに章にして、歴史上のトピックをまじえつつ、日記の内容を紹介しています。

 貯金したり、賄賂をもらったり、保身に汲々としたり、仕事に熱中したり、日曜に教会に行ったり、浮気したり、ばれて奥さんに謝り倒したり・・・・・・見えてくるのはほんとに普通の人なんですが、なまなましい記述の間から、当時の世相が見えてきそうです。