血染めのエッグ・コージイ事件【感想】

読書

 ジェームズ・アンダースン『血染めのエッグ・コージイ事件』を読んだ。

 冒頭で誰かが引き合いに出すひとつの名前によって、この物語が、世界大戦前のきな臭い予感に満ちた、そして本読みにとってはスパイとか謀略とか冒険とかロマンのある時代のことだと分かる。

 期待に沿うように、陰謀や策略がうずまいていそうなプロローグ。そこに、陰謀とは縁のなさそうな威勢の良い生き生きした少女が現れて、その次に出てくるのはアメリカの大富豪と世間を賑わせる怪盗の盗難予告……あのー、これ、どんな話になるの?

 これらの盛り沢山の設定が、週末のオールダリー荘のパーティに集約した時に、事件は起こるわけで、まあ想像どおり盛り沢山の内容。

 読み始めた時は、登場人物は多く、ややこしく、事件に直接関係ないようなカントリーハウスのパーティがじっくり描かれて、まだるっこしく感じられたものの、次第に、貴族の邸宅が舞台の群像劇を楽しむように引き込まれていき、事件が起きる頃にはすっかり目が離せなくなっていた。

 かなりサービス精神旺盛な内容を、探偵役が名探偵らしくすっかりきれいに解き明かしてくれるのがうれしいし、ユーモアと深刻な時代背景で物語にめりはりが効いているのも大変好み。

 久しぶりに、読み終わるまで眠れない本でした。