4月、緊急事態宣言が出る前に行った展覧会のことをいくつか。
久々に難波に出て南海電車に乗った。目的地の最寄りは大阪狭山市駅。
南海電車は和歌山・関空方面と高野山方面があって、自分が乗るときはだいたいその3ヶ所のどれかが目的地になるので、それ以外の途中で降りるとなるとどれに乗ったらいいかけっこう迷ってしまう。
大阪に引っ越して17年めになるが、南河内らへんはほとんど知らないままだな。
駅員さんに確認して高野山方面の橋本行きに乗って、北野田で普通電車に乗り換えた。
大阪狭山市駅から狭山池に向かう道は、普通のアスファルトの道路と色分けされているので、その色を頼りに歩いていけばマップを確認しなくてもたどり着くことができた。
狭山池は日本で最古といわれるダム式ため池で、文献上では垂仁天皇の皇子の印色入日子命(日本書紀では五十瓊敷入彦命)が造ったとされている。
古事記には
印色入日子命者、作血沼池、又作狹山池、又作日下之高津池。
とある。
そう言われてもそもそも垂仁天皇ってどんな人やったっけ…くらいの知識なのだが、確認したら田道間守に非時香菓を取りに行かせた人だった。
そう言われれば奈良市内を自転車で走り回ったときに垂仁天皇陵は何度か見た覚えがある。
古墳の話になったついでに、印色入日子命のお墓はどこかなーと調べたら、淡輪ニサンザイ古墳に治定されていて、あ、それ南海淡輪駅のすぐそばにある、テクテクライフで初めて塗った古墳だ!

その時記念にスクショまで撮っていた。
と……こうしてどんどん脱線していくが、自分の経験が思いがけないところでつながると面白い。
狭山池博物館に来るのは2回め。
狭山池までの道のわかりやすさと比べると、博物館へのアプローチはいきなりダンジョンになる。エレベータがあるので1階に降りる。

水が滴る通路を歩いていくと、見えてくるのは

入り口どこやねんと思わずつっこんでしまう。
建築は安藤忠雄。なんだかんだいうて、安藤建築に来るとすごくわくわくしてしまうな。大阪の誇るダンジョンのひとつだと思う。
まずは常設展から。狭山池のすごいところは、7世紀に造られたものが、行基の改修、東大寺大勧進の重源の改修、豊臣秀頼に命じられた片桐且元の改修、そして平成の大改修など、何度もの改修を経て、現在まで現役で繋がっているところだと思う。
それぞれの時代の痕跡を残す土木遺産。
おもしろーと常設を見て、この日の目的の春季企画展「土木遺産展ートンネルめぐりー」の部屋へ。
近代のトンネルからはじまり、坑門の各部の名称、トンネルの工法、各地のトンネルの紹介などなど。
そういえばトンネルって、だいたい移動中に通過するものだから、坑門の意匠がどうなってるかなんてじっくり見たことはなかったなと思いつつ。イギリス式とフランス式のレンガの積み方の違いも覚えた。
パネルが主だったけれど、大町トンネル関連の当時の写真や資料などいくつか。うっ黒部の太陽もう1回見よう…。
あとトンネルの貫通石コレクションや、トンネル工事の安全祈願で抗口の上に置かれた化粧木の写真なんかもあった。
スケールの大きな土木工事に惹かれるものがあるんだけど、自分はそれを物語として受け取っているんだよな。なんで実際の技術とか数字はちゃんとは理解しきれていないところもあるけれど、機会があれば触れていきたい。
展示を見終わって3階にあがり、カフェで昼食。
博物館メシといえばカレーにコーヒーと相場が決まっている。

めっちゃおしゃれ。
このスコップ型のスプーン、前にハンズで見かけて買おうか迷ったときは使い勝手がどうかな……と思ってやめてしまったんだけど、実際に使ってみるとこのプレートのように角があるところが特にすくいやすくて、想像以上に使いやすくてよかった。
もし20代の結婚前の自分に戻れたら、ここでデートする。地方の埃っぽい資料館とかに連れ回してる場合じゃない。
狭山池を見終わってまっすぐ帰ってもよかったが、一度行ってみたかった美術館があったのを思い出して南海の駅に戻る。
中百舌鳥駅で泉北高速鉄道に乗り換え、終点の和泉中央駅へ。そこで今度はバスに乗り換えて、和泉市久保惣記念美術館にたどり着いた。
たまに気になる展覧会があるんだけど、うちからだと交通的に敷居が高くて来たことがなかった。
たぶんMIHOくらい心理的に距離があったが、よく考えたらMIHOよりは来やすいな。

入り口から展示室までなかなか趣のある庭園の横をえんえんと歩く。
小さな美術館かと思っていたが、ホールなども備えて敷地はかなり広かった。
ここでやっていたのは「北斎 ー富士山と東海道」。北斎の版画コレクションを展示していた。
「富士山」は線の構成、「東海道」は描かれた風物に注目する展示で、見たことがある版画ももちろん多かったが説明がとてもためになり、楽しめた。
そういえば東海道のルート上から外れるんだけど、秋葉山と、あとどこだっけ……鳳来寺山だっけ、そっちの方のお寺が含まれていて、依頼主の希望だろうか?みたいに書かれていた。
遠州三河らへんは地元なので気になり、後で秋葉街道とかかなーとぐぐっていたら、お伊勢参りの人が掛川から秋葉街道に入って秋葉山、鳳来寺とお参りし、御油に出て東海道に戻る……というのがあり、それもわりとメジャーなルートだったのかもしれない。
帰りはちょうど本数の少ないバスを逃してしまい、まあ下りだしと思いつつ歩いてみたが、駅までたっぷり30分かかった。
余裕があれば歩けないこともないが、展示を見終えた後はくたくたのときが多いので、帰りのバスに合わせたほうが無難みたいだ。
帰りは中百舌鳥から新今宮まで行き、JRに乗り換えて帰宅。

