『ちいさなちいさな王様』のアクセル・ハッケが新聞に連載したエッセイ集……といっても、日常と非日常の区別がたいへん曖昧なエッセイ集です。
結婚して10年以上になる奥さんと幼い子どもとの3人暮らし。
本人はおじさんと呼ばれる年齢で、パソコンとか最近のカタカナ言葉には弱くて少し苛立ちを覚えている。
時折、古くから愛用している冷蔵庫兼友人のボッシュと語り合う。
ホラ吹きハッケおじさんの世界はエッセイでも微妙に発揮されています。そして、程よくダメで、程よく憂鬱なハッケおじさんの思考も居心地悪くない。
たとえばハッケおじさんと奥さんはけっこう喧嘩しています。見ている方が憂鬱になるやりあい。けれど、そんな喧嘩をしても結局はお互いを許すところ、そこに多分愛、みたいなものがあるのかなと。
行間からたまにいいものが見える。
今は若いあの人も、年をとったらこんなふうに小心で、わがままな(けれど自分では忍耐強いつもりの)おっさんになっていくのかな、と想像したり。
『ちいさな~』からハッケワールドに入った者としては、冷蔵庫ボッシュとの会話がやっぱり一番面白かったです。こうしてあの空想の世界は広がっていくんだな、って。
程よい親近感と、程よい憂鬱と、程よい空想の世界でした。
