去年のクリスマスの話

日常

去年のクリスマス前に京都駅で見た、ヘルツォークの『キンスキー、我が最愛の敵』と『フィツカラルド』の話です。

なんていうか、荒唐無稽な物語は映画という枠の中でだけリアルなんですけど、物語が現実を凌駕するというか、物語の中でもないと無理な実現不可能な設定を力技で現実にしてしまう、映画と現実の境界を泥臭いやり方でぶっ飛ばす作品だったんだなー、ってのが今日になってやっと腑に落ちました。

夢が現実になるなんて映画の中だけの話でしょう?
……いや、これは現実だよ。

っていう。うーん、わかりにくい。

ヘルツォーク監督と怪優クラウス・キンスキー。2人とも狂気という言葉で表現されることが多い強烈な人物です。

撮影現場がどのくらい凄かったかっていったら、エキストラで協力していたインディオ達が相談して、族長がヘルツォーク監督のところに「監督のためにあの男(キンスキー)を殺しましょうか?」って申し出てきたくらい。

つってもヘルツォーク監督も相当の人物で、現場を放棄しようとしたキンスキーに銃をつきつけて、この映画から逃げるならば「8発お前の頭に撃ち込んで、最後の1発で自分を撃つ」って言い放つ……そんな強烈なぶつかり合い。

対立する2人というのは大好物なので非常においしかったのですが、私なんぞの貧相な想像力では太刀打ちできないこの実在人物。

何度もキンスキーを殺したいと思った、と苦笑いしながら語るヘルツォーク監督。
けれど、もう亡くなった彼を抱きしめたいと思うことが今でもある、と語るときの顔は愛惜があふれるもので。

たくさんのぶつかり合いを経てたどり着いた「我が最愛の敵」という言葉。
Mein liebster Feind……。

そして、ヘルツォーク監督の「私はあの狂気を最後には飼い慣らした」って笑いにはぞくぞくさせられました。