ターミナル・エクスペリメント

読書

今月はSFを読むと言いつつ、ちょっと開いては読書気分でなくなって放り出しを繰り返していて、いいかげん1冊読みきらないとなーと手に取ったのはソウヤーだった。

なんだろう、このロバート・J・ソウヤーなら楽しんで読みきることができるっていう信頼感。

そういうわけで、『ターミナル・エクスペリメント』を読んだ。

なんというか、こんなにシビれるプロローグは久しぶりだ。
病院の集中治療室で、主人公と、死にかけた女性刑事との会話。
どんな事件が起こったのだろうという興味と、死にかけた刑事がどうやってその事件にけりをつけるのだろうという興味で、がっつりハートを鷲掴みに。

読み始めて気がついたけれど、作中で事件が起こるのは2011年、まさに今年なんだな。
書かれたときは近未来として想定されていただろう話を、その時に読む、するとついついリアルとの差異を気にしてしまうけれど、こういうのもまためぐり合わせというか、読んでいて色々考えるネタが増えるなあ。

この後、あらすじ的なものを数行にまとめてみたんだけど、どう要約しても全然面白くなさそうなあらすじになってしまったので一旦消去。

40代に差し掛かった夫婦の危機と、不死とか死後の生とか、哲学的というか宗教の域にうっかり行ってしまいそうな要素を扱っているんだけど、それが充分消化されてきっちりエンタテイメントになっている。
……ええと、何らかの立場にコミットしてても、コミットしないと決めてても、気まずくなく読める距離感だ。

何かナーバスになっていたせいか、なんでもない場面がしみてくることも多々あり、いい感じに作者に振り回された。

瀬名秀明の解説も、愛情があって良かった。