名短篇、さらにあり 【感想】

読書

 北村薫、宮部みゆきの2人が選んだアンソロジーの2冊目です。
 読んでいくうちに編者お2人の顔が浮かんでくる良い企画で、宮部さんの方はあまり知らないのですが、北村さんが読み巧者であることは疑いがないので、期待して読みました。

 内容はといえば、12篇中面白いものあり、怖いものあり、人情噺あり、よくわからないものあり。

 なんといいますか、普段は本を読んでいて、好き嫌い、面白い面白くないと曖昧にしか評価していないんですよね。
 そんなあやふやな自意識などぶっ飛ばす、生半可な共感を許さない、凄い短篇もありました。林芙美子「骨」です。

 その他には、ほどよい怖さと自己認識の揺れ方が好みの内田百間「とほぼえ」、女の一生とか親子関係とかマクロの切り口を持ちながら瞬間の描写に優れた岡本かの子「家霊」が好み。

 それから、岩野泡鳴の「ぼんち」に出てくる主人公を「馬鹿だ、なァ」という台詞と、川口松太郎の「紅梅振袖」に出てくる主人公の職人を「馬鹿だ」という作者の視線の、温度差も印象に残ります。