ロビンソン・クルーソー【感想】

読書

 大昔、児童向けの単行本で読んだことがあったので、今回は岩波文庫版で読みました。
 上巻のロビンソン・クルーソーが無人島生活を送るストーリーは、私のようにこども向けの本で読んだ方も多いのではないでしょうか。

 この物語は、アレキサンダー・セルカークという人が実際に無人島で生活し、無事帰還した事件がありまして、実際にあった出来事、実録小説として出版されたそうです。
 まあ、内容はデフォーの創作なんですけど。

 上巻は、ロビンソン・クルーソーが、安定した中間層である両親の生活をきらって、一攫千金を夢見て出奔することから始まります。

 無人島に着くまでにも、かなーり波乱万丈なんですね。

 で、波乱万丈がありつつも、やっと一財産を築き上げたというのに、そこで満足せずに何故かまた船に乗ってしまう主人公・・・・・・無人島への到着です。

 上巻の物語は、一応聖書でいう放蕩息子の物語としても読めます。

 富を望んで出奔した主人公は放蕩息子。
 けれど、巡り巡ってたどり着いた無人島で、主人公はプロテスタントの理想的な生活を送ることになります。
 日がのぼってから落ちるまで働き、自然からの恵みを自分が生きるのに必要な分だけとり、聖書を読み、神に祈る。

 精神的な悔い改めよりも、勤勉な生活を送る方が先にあるんですね。
 このへん、プロテスタント的だと感じました。

 そして、ちょっと不自然な点は色々あるものの、無人島から脱出になります。

 下巻は、先に出た分が好評だったので続けて書かれた続編ですが、あんな目にあったのにまた旅に出てしまうロビンソン・クルーソー・・・・・・。もう老人なのに。
 下巻は諸国漫遊譚のように色々なところを巡りますが、色々と事件が起きて、内容はもりだくさんです。

 今の目で見ると、中途半端だったりいいかげんだったりする部分が多いのですが、当時としては他にないエンターテイメント性だったでしょう。

 この作品が広く読まれた背景には、印刷技術の革新、ジャーナリズムの発達、また大航海時代の後の英国にとってはかなり羽振りの良い時代で、作品を受け入れられる、本を読む層が十分広がっていたことがまずあげられるでしょう。

 また、想像ですが、作中描かれるプロテスタント精神や、安定よりも冒険を求める主人公の姿勢が、並べてみると相容れないようにも思われますが、当時の空気を反映して、共感をもって迎えられたのかもしれません。