キルン・ピープル 【感想】

読書

 朝起きたら、自分の記憶を持ち、自分の代わりに行動してくれる「ゴーレム」を焼いて、そいつらに仕事させ、夜になったら戻ってきたゴーレムの記憶を併合する、そんなゴーレムを使うのが日常的になった社会での、私立探偵モノです。

 ゴーレムの元々の素体によって、できあがるゴーレムの出来が違ってきて、単純作業向きのグリーン、本体と同程度に高度で繊細な作業をこなせるグレイ、本体よりも出来がよかったりするエボニーなどの種類がありまして、いざ事件の依頼がきて、主人公が焼いたゴーレム達と本人の視点から物語はすすめられるのですが、それぞれに個性がきちんと書き分けられていて、それが毛色の違う私立探偵ものを並行して読んでるようで、なかなか面白い。

 上巻はわりと社会の描写にも筆が割かれてまして、ゴーレムが労働を担うようになったら、どんな社会になるのか、生身の人間やゴーレムの間でできるヒエラルキーや格差、保障、そしてゴーレム社会で出来上がる文化やなにか。
 そんな、作家の想像力を駆使した描写は、物語のすじとは別に、読みどころが多いです。

 また、ゴーレムには素体が1日しかもたないとか、本体に記憶を併合するには本体と物理的に近くにいなければならないとか、いくつかルールがありまして、それも話を進めるうえで良い味つけになっています。

 ちょっと想像力がついていかない部分もありましたが、ミステリ読みもかなり満足できる私立探偵モノだと思います。