姫路文学館でお菊伝説

姫路文学館「怪談皿屋敷のナゾ」展 美術館・博物館

姫路駅からバスに乗ってまずは文学館へ、「怪談皿屋敷のナゾ 姫路名物お菊さん」展。
入り口すぐにあった何人かの著名な民俗学者がお菊さんに言及した抜粋のパネルで、一気に展示に引き込まれた。

日本各地に残る皿屋敷・お菊伝説マップのパネルに見入っている人が多かった。
お菊伝説はもちろん広範に知られているけど、姫路の人にとっては特に地元の話っていう印象が強くて、そういう日本各地に伝わっているという広がりが面白いのかもなあ、とちょっと思った。
私もしっぺい太郎伝説はなんとなくうちんとこの話って印象があるしな。

そのマップの分類も、展示されてる各地のお菊伝説に言及した文献も、お菊伝説から派生した品々も、丁寧なお仕事というか研究の成果という感じがして好感を持つ。
あと要所要所で月岡芳年の浮世絵が目に入って、イメージを喚起してくる。

私はお菊伝説は幽霊話、怪談として知ったけど、語られ方によって、受け取り方によって伝説は違うバリエーションを持つということ……忠孝とか教訓だったり、悲恋だったり、宗教的な仏教説話だったり……そういうところが面白いと思った。
蝶の蛹が縛られた女に見えるということでお菊虫と言われるようになったのも、人によっては妖怪みたいに喧伝する人もいるし、ただの昆虫だよって言ってる人もいるという具合に。

それから大念仏寺や東京の全生庵からお菊にまつわる幽霊画が来ていて、文学館の展示だから文献ばっかりかなと思っていたので嬉しい驚きだった。
鏑木清方のお菊さんが見られたし、あと絵葉書にあった久保田米僊がこの間京都で名前を知ったばかりで、あ、あの…ってこういう風に知識が繋がると嬉しい。

浄瑠璃や歌舞伎、映画、現代の小説までお菊づくしで、あとやっぱり伝説が土地の名物になっているというのが面白かったな~。文学に留まらず美術、文化史、民俗学的な多方面の面白さのある展示でした。

姫路文学館のカフェ

図録を購入し、文学館のカフェで休憩しつつ読む。
ここのカフェのコーヒー美味しかった。近所にあったら週一で読書に行く。

文学館の敷地内に望景亭という大正時代の有形登録文化財の建物があり、ご自由にお入りくださいとなっていたので入ってみた。

望景亭の廊下の絵が描かれた杉戸

貸室として改装されているため、部屋の中は普通に整えられていたけれど、廊下や細かいところが凝っていた。

襖の引き手がこんな感じで、琵琶?それか櫂?と思いつつ反対側を見たら、ちょっと付け足されて鳥になってるのとか。

望景亭のふすまの形が違う引手

他の部屋には陶器でできた引手もあった。

望景亭のふすまの引手

書院窓もむちゃくちゃ手が込んだものだった。

望景亭の書院窓

かなり見ごたえがあり、また庭にはお城の礎石を流用した大きな石とかもあって、

望景亭の廊下の絵が描かれた杉戸
望景亭から見た庭のつつじ

ちょうど咲きかけていたつつじの見え方もよかった。

すっかり堪能して、お城の敷地を横切って美術館へ歩いていく。

姫路市立美術館

何回来ても、姫路城が借景なのが強いと思う。
ここでは「連作の小宇宙」展を見ました。
美術館の所蔵品の絵画の連作をじっくり見るという企画。

中村忠二の動物シリーズけっこう好きだった。もし自分ちに1枚飾るなら、この中の「怠けぐま」か「生きている者」だなー。
大野麥風の木曽路と大日本魚類画集もけっこう見応えがあった。

姫路駅付近まで戻って、文学館の展示で『暗夜行路』にお菊神社に行く場面があると知ったので、歩いて行ってみた。

お菊神社

十二所神社の境内にあるんだけど、大きな道に面して別に鳥居があった。空襲で焼けて縮小したそうなので、多分志賀直哉が見たそのままではない。
お参りして一回りした。

お菊神社の丸い絵馬

絵馬はお皿の形をかたどってまるかった。

お菊の松

お菊の松や石碑などがある。
そういえば姫路城の敷地の中にお菊井戸もあるけど、そっちまでは立ち寄る時間と体力がなかった。

カフェラダダのスイートポテト

なかなか歩き回ったので、大阪に帰る前の腹ごしらえとお茶のできる店を探して、近くにあったカフェラダダでおやつにスイートポテトを食べて、美味しかったので焼き菓子をお土産にして帰宅。