大阪中之島美術館「女性画家たちの大阪」「モネ 連作の情景」

美術館・博物館

元気になってきた……というか、体調が悪くならなかったので、中之島に行ってきました。
最初の目的地はフェスティバルタワーウェスト1階にあるキヤノンギャラリー大阪。
奇想民俗博物館「まつりと」(まつりと公式サイト
キヤノンギャラリー50周年企画展で、先日品川の展示を見て、大阪でも始まったので行ってきました。

大阪でのテーマは「小さな村の不思議な祭り」。
品川のギャラリーとちがい、小ぶりな1室の展示です。

点数が絞られるからか、インパクトのある来訪神の写真から始まりました。
来訪神の造形そのものをどーんと撮ったもの。

あまりにポーズが決まっていて、パーントゥさんイケメンに見えてきた。

鹿児島の弥五郎どん。でっかい!そして集まってきた大勢の人。

全国各地のさまざまなまつりの形。
動画も流れていたので、見島のカセドリなどを見ました。
品川の感想でも書きましたが、有名無名を問わず全国各地に出かけていってその土地の祭りを記録するプロジェクト、意義があるし知る楽しみがある。応援します。

ギャラリーから出てダイビル、中之島美術館を通り越し、大阪大学中之島センターの2階カフェで先にランチを注文。

アゴラバーガー。ナイフとフォーク使うべきなのか……?と思いつつ、手づかみしました。
思っていたよりも肉がぎっしりで、もう、すごい肉だった。ポテトもたっぷりでかなりのボリュームでした。
ここで使っているARASの食器とフォーク集めたいんよ。

カフェのある2階に出口があり、中之島美術館まで通路が繋がって直接行けるようになっていました。

まずは4階、「女性画家たちの大阪」展。
1月に体調を崩したり、そのしわ寄せがきたりなんだったりで会期末になってしまったけれど、なんとか間に合った。
中之島美術館の開館記念の「超コレクション展」から大阪の主だった女性作家は展示されており、まあ見ているからなあという油断もあったんですが、やっぱり見逃さなくてよかったです。

展示は島成園《祭りのよそおい》から。
これは前の「大阪の日本画」展では最後の方に印象的に展示されていたので、この絵から始まるのは「この間の続きを始めよう」と言われたような感じがしました。
きれいに着飾った3人の女の子を少し離れて見つめる右端の裸足の少女。
見ていると、作者の島成園はこの右端の子のことを「これは私」って描いた気がするんですよね。そして私も右端の子に感情移入している。
島成園を初めて見たのは大阪市立美術館での《無題》という自画像で、なんかその時から「これが私」って言わんばかりの表情にすごい惹きつけられるものを感じています。

20歳で文展に入選した島成園を起点として、女四人の会に参加した島成園、岡本更園、木谷千種、松本華羊が展示されます。
木谷千種の浄瑠璃船よかったなあ。

そして福富太郎っていいところ持っているよね、という感想。

それから南画、花鳥画。
野口小蘋は女性では初の帝室技芸員に任命されて文展では第1回から審査員を務めていたらしい。京都市京セラ美術館の帝室技芸員の展覧会で見たなあ。メインの時代がずれるからか扱いは小さかった。

そして生田花朝。
生田花朝もここで何度も絵を見ているので、だんだんおなじみさんという感じになってきている。
あと菅楯彦と結婚した富田屋八千代の白蔵主があった。菅楯彦関係者コーナーなので菅楯彦見たくなってくる。

島成園が文展に入選した「宗右衛門の夕」、生田花朝が女性として初めて帝展で特選をとった「浪花天神祭」、この2作はどちらも所在不明となっている。
もしこれらが現存してどこかに所蔵されていたら、この2人の全国的な知名度ってもっとあったんじゃないかなーなどと思ってしまいます。
今回絵葉書みたいな小さな作品の写真が展示されていたので、よく見てこういう感じの作品だったのかなと頭に思い浮かべてきました。

大阪市立美術館で令和2年に島成園を特集展示でやっていて、美術館の紀要でその時の報告を読むと、「(島成園の)大半の作品は展示機会もなく、研究者にも知られてなく、この際所蔵作品の図録作りたかったけれど補助金もとれなかった」とまあ散々な内容で、それでもそれから「華風到来」展でメインビジュアルに起用したり、中之島美術館がオープンして何度も展示されたりして、少し状況は変わってきたんじゃないかと思います。
どうだろ。

そんな大阪市美から自画像含む好きな絵がいくつか来ていました。

背後に絵画を置いた自画像。表情のつよさと着物の色合いめっちゃ好き。

これまでの展覧会で知った作家でも見たことがない絵が展示されていたり、ふんわり名前だけ知っていた作家とか全然知らなかった作家とかもあり、見ごたえがありました。

「大阪の日本画」展では、作家にとってけっこう苦い結果に終わったことも書かれていて、このかわいい七夕の絵も見ると、ああ……ってなっちゃうんですけど、今回はわりとポジティブめに、この時代に帝展や文展に挑戦するだけの力があった女性画家がこれだけいたんだ、という感じで紹介されていました。

名前だけ知っていた作家や知らなかった作家もたくさんいたんですが、今回気になったのは高橋成薇。中村貞以と結婚したらしい。え、めっちゃうまくない?

近年、各地の美術館が男性作家と女性作家の数の不均衡というのを意識しだして、特集組んだりしているところで、近代の日本画に絞っても特別展やれるくらいおるで!って開いてくれたのはけっこうかっこいいと思うし、丁寧に大阪で活動した作家を掘り起こす研究に裏打ちされていて好感を持ちました。
一世を風靡した作家だって、後世になってすっかり忘れられてしまうってよくあることで、こうして紹介してくれる機会が設けられることはとてもよいお仕事と思います。

4階で思ったより時間がかかってしまったけれど、5階へ。
「モネ 連作の情景」展

公式さんが16時以降は落ち着いていると書いていたんですが昼間はけっこう混んでいそうだったのでどうかなと思いつつ、16時半をまわってから入室したら、かなりゆとりのある展示室でした。
最初はサロンに入選していたけれど、保守的になったサロンから締め出されてしまい……
けっこう《ルーヴル河岸》(看板中央の絵)とか初期の絵好きでした。
同じ場所が並ぶことで、見比べるとけっこう筆のタッチとかも違うんだな、と発見があって、たぶん混んでいたらさらっと流して見てしまっていたと思うので、行ったりきたりしたり、たまに椅子に座って眺めたりとゆっくりできてよかったです。

あちこちの美術館で見て、モネってなんとなく似たような絵ばかりというふわっとした印象がありましたが、こうして連作として見ていくことで、あえて同じ場所で違う時間、天候、空気を描いているというのが腑に落ちました。

混みそうなときはある程度心構えをして行きますが、やっぱりお客さんの滞在人数で満足度変わるかもなー。

最後の睡蓮の部屋が撮影可の作品があり、ここだけ少し人が滞留していました。
私もちょっと撮らせてもらったけれど、スマホカメラであの絵の色が満足に写し取れるわけがないのよ。
モネ展は18時閉館で、見ている途中であと30分のアナウンスが流れ、ショップに出たら
「あと5分でレジ閉まります」の声。慌てて買い物。

中之島美術館で閉館ぎりぎりまで滞在したのは初めてだったので、5階から4階に降りる階段の吹き抜けにいるあいつ

君、目が光ったん……というのを初めて知りました。

おみやげ。

初期にはこんな絵描いていたんだ、というのが印象的だった桃の瓶詰めと、リヨン美術館のチャリング・クロス橋、テムズ川
あとエコバッグが色も質感もけっこうよかったのであと5分の勢いで。

それから中之島美術館の1階ショップで売っているあずま袋をずっと買うかどうか迷っていたんですが、モネ展限定カラーが出ていたのでついに買っちゃいました。