ナショナル・ギャラリー【感想】

映画

堂山で用事を済ませた後、スカイビルまで、梅田の果てから果てへこれどっかでもうちょっとショートカットできないのかなーと思いつつ歩いて、シネリーブルで映画『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』見てきた。
イギリスの国立美術館で展示される絵画を中心に、館内で行われるギャラリートーク、講習会、ワークショップ、会議、それから館内で働く人々の多様な仕事、そして絵を見る人々。
建物も内装もいいし、額装も。細かいところまで気が配られてて、質の良さを感じさせられる。
ほとんどずっと絵の話をしてる3時間だけど、それぞれの絵画をめぐる話が面白くて飽きる暇がなかった。
話を聞く人に合わせて学芸員さんの話す内容も違って、たとえば子ども、学校の美術の先生、不特定多数のただその場に居合わせた人とか、聴衆に合わせててなおかつどの話もそれぞれ面白いっていう。

私自身は絵を見る目がなくて、絵を見て感動とかないし、有名な画家の展覧会が近くであっても行かないし、なのにじゃあなんでこの映画を見に行ったかっていうと、自分が良さを分からないものを好きで語ってる人の話を聞くのが好き、だからなのかなー。
自分では分からないけど、人のフィルタを通してその素晴らしさを垣間見たいっていう。
絵を見てインスピレーションを受けたっていうピアノ演奏、詩の朗読、バレエとかの映像もあったけど、そういう芸術と呼べる枠組みの中でインスピレーションを受けるっていうのが未知だからすごく興味深く感じる。

最初の方にあった、絵をどう見るかは自由で、見に来た人それぞれが自分自身の絵との付き合い方を見つけるようにお手伝いをするって言葉はちょっと嬉しかった。

例えば市場価格とか、名の通った目利きの意見とか、何パーセント以上の多数の支持を得ているとか、そういう理由では見たくないよね。(大多数が支持するものは大抵目に快いけど)
逆に自分が理解できないものを理解できないという理由で陳腐とも言いたくない。

確実に目を開かせてくれるというか、新しい発見を提供してくれる美術館で、こういうところに頻繁に行ける人は幸せだ。

画家の名前失念しちゃったけど(カミーユ・ピサロだったかな)絵を構造から捉える話と、修復師さんのレンブラントの絵の調査から発見した全く別の絵を横にして上から描き直した話、ホルバインの見る角度で骸骨が現れる大使の絵とか、イギリスの国王がお嫁さん候補を見るために肖像画を描かせて…って話とか面白かった。
あと、絵には物語があって、時間がないって話も。