當麻寺展

奈良国立博物館の、當麻曼荼羅完成1250年記念「當麻寺」展に行ってきました。
2010年に古代葛城歴史回廊ウォークリレーという、葛城地域を半年くらい数回に分けて歩くイベントがあって、それに皆勤して以来、葛城方面の特集展示となると食いついてしまいます。

まず目に付くのは、金堂四天王像のうちの持国天立像。
當麻寺の四天王像は法隆寺の四天王像に次いで時代の古いもので、両足を揃えて真っ直ぐ立っている姿と、あとこういうおっさんいそう、みたいなリアルな髭面が印象的です。

それから平安期の密教の影響を受けた観音像は、水瓶を持つたおやかな指先や肩から流れるように足元まで届く布の感じもあいまってどことなく女性的で、特に織姫観音と呼ばれる十一面観音菩薩が私は好きです。
平安時代の仏像っていいな!

特別展の目玉というか、當麻寺本堂のご本尊である綴織當麻曼荼羅。1辺約4mの大きさにまず圧倒されます。
さすがに視力の良い私でも細かい部分は視認できませんが、なんか中央の三尊がぼんやり赤く浮かび上がって見えたような。
展示室のパソコンで綴織當麻曼荼羅と文亀本と貞享本を切り替えつつ見られたので、じっくり見てきました。デジタルすごいな!

図録の各論部分に、綴織當麻曼荼羅の織組織を観察調査して同時代の正倉院裂と比較することで、中国中原で作られた渡来品だろうと書かれていました。
綴織で製作された理由については、染織品ならば折り畳むこともできるし軽いし、遠隔地への移動が容易だからだろうとされていて、っていってもこれだけの大きさでこれだけ細密な画を織物で作るって相当の技術と労力だろうし、これだけのものが伝来していて文献資料が全然残ってないっていうのも不思議に感じます。

當麻曼荼羅縁起の絵巻物もたくさん展示されていて、描かれた役行者の姿も色々あって良かったのですが、絵自体が素晴らしくて堪能しました。

で。この日に出かけたのは、綴織當麻曼荼羅と、もうひとつのお目当て、京都禅林寺の「山越阿弥陀図」の展示期間だったというのがあります。
山の間に沈む太陽から、阿弥陀如来の来迎を感得したということから描かれるようになった山越阿弥陀図に、なんだかすごく惹かれるものを感じるのですよね。
奥院の二十五菩薩像とかもですけど、阿弥陀来迎を描いたものにとてつもなく劇的なものを感じるというか……。

かなり充実した展示でした。

室生寺で講話をうかがった時も思ったのですが、お寺っていうとナントカ宗ってひとまとめにして覚えてしまいますが、古い歴史のあるお寺さんは宗派で一括りにできなくて、興福寺(法相宗)の支配下にあったり、平安時代には密教の影響を大きく受けて、そして鎌倉時代に浄土信仰が入ってきて、それから葛城山系の山岳信仰なんかもあって、かなり色々混ざり合った感じがなんとも言えず魅力です。

ロビーの所で流されていた當麻寺の映像もしっかり見て、仏像館へ。
何ヶ月か前に行ったばかりでそれほど展示替えはなかったのですが、特別展に合わせたのか、兵庫県浄土寺の練供養で使われる快慶の阿弥陀如来立像がいらっしゃって、これがまたシュッとして素敵なお姿でですね……放射光の光背すごくかっこいいですね!
これが練供養でゆっくり進むお姿なんて、相当神々しかっただろうな~。

特別展を見た後は奈良駅に戻り、余ってた青春18切符を使って普段乗らない路線の乗りつぶし。奈良ー木津ー柘植ー草津と乗り換えて帰宅。