7月に京都で見た展覧会

福田美術館の2階からの眺め 美術館・博物館

7月は京都に2回行って美術館を見てきたのでかんたんに感想を書いておこうと思う。

7/5
泉屋博古館の「モネからはじまる住友洋画物語」

モネからはじまる住友洋画物語展看板

何度か足を運んですっかり好きになった泉屋博古館。
基本的に「今まで見たことがないものを見る」というのが展覧会を見に行く動機になっていたけれど、好きな美術館のコレクションを見るために、繰り返し足を運ぶ楽しみというのがこの美術館でだんだんわかってきた気がする。

今回は住友春翠、寛一、友成の親子3人が収集した洋画のコレクション。
春翠さんの洋画コレクションは1897年の欧米視察時にクロード・モネの2点を購入したことから始まるそう。
展覧会もそのモネの「モンソー公園」、「サン=シメオン農場への道」から始まる。
これまでは「住友家のコレクション」として見ていたものが、誰が購入したものなのか、購入するときにも、春翠さんだったら留学を援助した鹿子木孟郎がフランスで代理となって入手したものと、春翠さんが自身で選んだものがあったり、寛一さんだったら岸田劉生との交友関係があったりと、3人それぞれの芸術への興味、趣味の違いがわかる展示となっていた。
西欧の絵画を収集するだけでなく、日本の画家の支援をするパトロンだったというのがいいなと思う。
見た中では渡辺與平の「ネルのきもの」の描かれた女性の風情と、あとヴラマンクが特に好きだった。

展示室の外で、住友家の須磨別邸を訪れた画家が書いた文章が載った本が展示されていたのも良かった。
あと愛媛県四阪島の日暮別邸、精錬所を見はるかす高台に野口孫市のちょっとモダンな邸宅が建ってる写真が、環境問題のことがあるからあんまり無邪気には言えないけど、エモくてすごく良くて、建物は一部新居浜市に移築されたそうなので、あっちに行く機会があったら行ってみようと思った。

夏の泉屋博古館の中庭

中庭の緑が目に快かった。

続いて歩いて京都国立近代美術館「チェコ・デザイン100年の旅」展へ。

京都国立近代美術館チェコ・デザイン100年の旅展

近代のチェコの100年をおよそ10年きざみでデザインの変遷を見ていくもの。
プラハが個人的に訪れてみたい街No.1というのと、建築でのチェコ・キュビズムというのが気になっていて…キュビズムって絵画ではなんとなくあーいうのってわかるけど、それが立体だとどういうふうになるんだろう?という…行ってみた。
けれど建築関係の展示はなかったのが少し残念だった。
チェコ・キュビズムという言葉を知ったのはそもそも建築探偵の本だったんだけど、その建築探偵藤森照信さんの講演会が予定されていて、中止となってしまったらしい。残念です…。
それでも家具、ボヘミアガラスのセットなどは素晴らしく、見応えがあった。ティーセット揃えたい…。

7/13
雨の月曜日。
嵐山文華館、福田美術館の2館は月曜が開館日らしい。(火曜休館)
今まで嵐山は人が多く行くのが億劫で敬遠していたが、会期最終日にやっと行ってきた。
かなり雨が強かったから、かえって人が少ないんじゃないかと行く気になったという。

まずは嵐山文華館で「いちからわかる円山応挙と長沢芦雪」展。
元々好きな画家で、なおかつ展覧会に飢えていたというのもあり、見ていてほんとしみてくる……という感じだった。
2階は大きな畳の広間でお寺さんで見せていただくときみたいだった。好きな場所にどこでも座れるのはいい感じ。お客さんが多いときはそういうわけにはいかないだろうけれど。

芦雪「岩上猿図」の部分

蘆雪は岩上猿図がほんとよかった。

嵯峨嵐山文華館と福田美術館は基本的に全作品が撮影可能で、いうてそんなに写真も撮らんやろと思いつつ、行くとつい撮らせてもらってしまう。

ふくろうの絵

カフェでお茶休憩。

嵯峨嵐山文華館のカフェ

かなり強い雨が降っていたのもあり、本当に嵐山か?と思うくらい静かだった。

歩いて福田美術館に移動。こちらは「若冲誕生」展。

若冲の屏風
若冲の屏風

去年の秋に美術館がオープンしてから初めての訪問だったが、事前に思っていたよりも点数も多く見ごたえがあり、うっとりした。

若冲と同時代の画家ということでこちらでも蘆雪、応挙、池大雅、蘇我蕭白などが見られたのだが、特に今回は蕭白がいいなと思った。

曾我蕭白の山水画屏風
曾我蕭白の龍の掛け軸

展示室は人が少なくゆったりと余裕をもって見られたが、カフェは人気があるらしくけっこう混んでいるようだった。次回は入ってみたい。

嵐山は観光客が多いと思ってなんとなく敬遠していたけれど、実際に行ってみると緑が気持ちいいし、かなりよかった。

お土産に若冲の髑髏のトートバッグを買って帰宅。

若冲の髑髏が描かれたトートバック