イギリス文学入門・読書予定

読書

 イギリス文学に入門したいということで、ガイド本を見つつ月に2作と考えて1年で24作、読んでいきたい本を検討してみました。
 文学史を学びたいわけではなく、作品そのものに触れて、自分の読書経験にしていきたいと思うので、ある程度バランスをとりつつも、興味を惹かれたものを中心に選んでます。

『カンタベリ物語』 チョーサー ちくま文庫
『シェイクスピアを楽しむために』 阿刀田高 新潮社
『天路歴程』 ジョン・バニヤン 岩波文庫
『ピープス氏の秘められた日記』 臼田昭 岩波新書
『ロビンソン・クルーソー』 ダニエル・デフォー 岩波文庫
『ガリヴァー旅行記』 スウィフト 岩波文庫
『筑摩世界文学大系21』(『パミラ』リチャードソン、『紳士トリストラム・シャンディの生涯と意見』スターン)
『トム・ジョウンズ』 フィールディング 岩波文庫
『オトラント城』 ホレス・ウォルポール 
『サミュエル・ヂョンスン伝』 ボズウェル 岩波文庫
『キーツ書簡集』 キーツ 岩波文庫
『ピクウィック・クラブ』 ディケンズ ちくま文庫
『大いなる遺産』 ディケンズ 新潮文庫
『虚栄の市』 サッカレー 岩波文庫
『ジェイン・エア』 シャーロット・ブロンテ 光文社文庫
『嵐が丘』 エミリ・ブロンテ 新潮文庫
『鏡の国のアリス』 ルイス・キャロル
『月長石』 ウィルキー・コリンズ
『ドリアン・グレイの肖像』 オスカー・ワイルド 光文社文庫
『ボートの三人男』 ジェローム・K・ジェローム 筑摩書房
『ユリシーズ』 ジェイムズ・ジョイス
『ダロウェイ夫人』 ヴァージニア・ウルフ
『動物農場』 ジョージ・オーウェル
『死を忘れるな』 ミュリエル・スパーク 白水社

 ものによってはナナメ読みになりそうな予感もしますがのんびりいきます。

 以下は、選ぶにあたってのメモと、参考にしたガイドの話です。長いです。

 まずは参考文献。

 1 『イギリス小説入門』 川口喬一著 研究者出版 1989年
 2 『イギリス文学ガイド』 日本イギリス文学・文化研究所編 荒地出版社 1997年
 3 『たのしく読めるイギリス文学』 中村邦生、木下卓、大神田丈二編著 ミネルヴァ書房 1994年

 2は大雑把な歴史もまとめられていて、把握しやすい。論文のテーマ例とかあって、大学でレポート書かないといけなくなった時に参考にするんだろうなーという感じ。
 1は小説にしぼり、他の文学作品との関わりにも触れられているので、読みやすくて関心をもちやすいので、最初に読むのに最適。
 3は、1と2でおおまかな流れを学んだ後に、結局どれを読もうかという時に格好のガイド、驚きの150作品収録。煽り文句が魅力的でどれもこれも読みたくなりますのー。

 さて、お次は以上を参考にして学んだカンタン歴史と文学史をふまえて、どう選んだかというメモ。かなり大雑把です。

 1066年にイングランドはノルマン人に征服されます。ノルマン人が持ち込んだのは、フランスの宮廷風恋愛と騎士道精神。なんといってもアーサー王伝説なんでしょうが、これを読むって本はないのでパス。

 で、中世は、なんといってもチョーサーでしょう。これは読んだことあるけど再読しちゃう。
 チョーサーの『カンタベリ物語』は1387~1400年のものだそうですが、14世紀の黒死病の流行と、1337年からの百年戦争で、チョーサーによって始まった英詩の伝統は断たれ、16世紀初頭までめぼしい文学作品はほとんどないそうです。

 時は流れ、16世紀……ルネッサンスです。エリザベス一世の頃に最盛期を迎え、演劇が隆盛。
 避けては通れない、シェイクスピアです。
 とはいえ、そのまんま読むにしては作品数が多いので、なんか面白いまとめ本はないかと検索した結果、作者で信用買いの阿刀田高で軽く入門してみます。

 さて、17世紀は社会的対立の時代です。ピューリタン革命によって王様は処刑、劇場も閉鎖されてしまいました。
 この頃のピューリタン文学としてはミルトン『失楽園』やバニヤンがあるそうですが、ここでは後者を選択。

 クロムウェルが死んで、王政復古。
 ピューリタンの反動で、喜劇や風刺が盛り上がります。ここではピープスの日記を選択。

 1695年の出版統制令撤廃を受け、また印刷技術の革新もあり、18世紀にはジャーナリズムが発達します。
 まずはジャーナリストが実録物の体裁をとって生み出した『ロビンソン・クルーソー』、それから『ガリヴァー旅行記』。
 これらはこども向けで読んでますが、元はどうなのかキニナルので読んでみようと思います。ガリヴァーはかなりすごいらしいし。

 そして、近代イギリス小説の誕生ですね。
 リチャードソンの『パミラ』、そしてパミラを批判する形で出てきた作家、フィールディングの『トム・ジョウンズ』。
 それから、ここではもう一作、『トリストラム・シャンディ』を。3によると、「英文学における奇書中の奇書」だそうで、これは読まずにいられません。

 ゴシックも18世紀末くらいからで、色々読みたい作品はあるんですけど、これはこれでまたいつかまとめて読むってことで、ここでは『オトラント城』だけ。
 また伝記好きなので、ボズウェルもかじっとこうと思います。

 さて19世紀に入りますと、ロマン派詩人です。ワーズワース、コールリッジ、バイロン、シェリー、キーツ・・・・・・名前だけ知ってるような詩人がいっぱい。
 けれど、日本語に訳された詩はあまり読む気がしないし、詩そのものよりは詩人に興味があるので、ここではキーツの書簡集をちょっと読んでみようかと。
 これ、入手できればいいんですけどねー。

 19世紀は、産業革命でもってヴィクトリア女王の時代です。この時代の小説は、時代を代弁するような作家が目立ちます。
 ディケンズ、サッカレー、ブロンテ姉妹……どれもはずせそうにありません。
 特にディケンズは避けて通れない道のような気がするので、ここではユーモアに傾いたものと、後期の作品であえて2作読みます。
 ルイス・キャロルは鏡の方を前から読もうと思っていたので、この機会に。1865年からのファンタジー文学の系譜も、いつか読みたいものです。

 19世紀の世紀末は、退廃的な唯美主義。ここからはオスカー・ワイルドを。『サロメ』も読みたいけど、こっちを。

 ところで、コナン・ドイルの『緋色の研究』も1887年なのでこの頃ですね。

 20世紀はなんといっても世界大戦がありました。
 新しい方はいつでも読めそうな気がするので、戦争の頃に生きたウルフとジョイスをじっくり読みましょう。

 ラストは、系譜として意味を持たせているわけではなく、単に好きな作家で〆ようと思ってのチョイスです。

 ・・・・・・作品でいうと24作ですが、本にすると平気で上下、とか三分冊とかあるので、ほんとに読みきれるかどうか不安ですが、まあのんびりいきましょう。