2016年前半に見た博物館・美術館

秋野不矩美術館 1年間に見た展覧会のまとめ

今年の博物館・美術館始めは、初詣で行った清荒神にある鉄斎美術館でした。
「鉄斎と蓮月」という企画展で、30代の鉄斎の画と70〜80代の蓮月の合作とか。桃花図と扇子が簀みたいなのに飾られてるのがよかった。鐵と月の字がいい。字が人を表現している。

あと1月に仕事で実家に帰った時に、両親と秋野不矩美術館へ。美術館建築の特集なんか組まれると取り上げられたりする建物で、靴を脱いで裸足になって、足の裏から伝わる感覚が変化するのを感じながら鑑賞というのが面白かったです。

印象的だったのは、みんぱくの江戸時代のアイヌの英雄を描いた「夷酋列像」展。
ブザンソン所蔵のは写真だったけど、みんぱく所蔵のがじっくり見られた。
どうして惹かれるのかと思ってたら、「「異人」であると同時に味方の「功臣」である」って書いてあって腑に落ちた。
「異様で威容」っていうのも展示場に書いてあったけど、まさにそれ。

それから3月に京博で狛犬の特集陳列を見て、6月に春日大社の初公開の狛犬を見てきました。
春日大社の狛犬は獅子も狛犬も金身。毛の色は緑と青。
第二殿の狛犬が、お社の方を見上げるような姿勢でかわいかった。どの方向から見ても造形に隙がなくかわいい。
京博で見た高山寺蔵の湛慶の?狛犬が小型で犬っころみたいでかわいーと思ったけど、それに似た印象があった。
本殿の狛犬が頭の横側に毛の表現がよく残ってるせいか、春日大社の狛犬の絵は、どれもなんか頭頂部が禿げてるような感じになっていた……。これから春日大社の出てくる絵を見たら、狛犬をよく見よう。

龍谷ミュージアムで見た「水 神秘のかたち」展も良かった。
へーこんな造形のものがあるんだ…と驚かされるような展示。
雨乞いとか、水って生命に直結する分祭祀も切実で、だからけっこうバラエティ豊かになったのかなーみたいなことを考えた。
ここで八尾の跡部遺跡の流水文銅鐸ととうとう対面。個人的に思い出深いのは、まだ静岡に住んでた頃、これ見たさにわざわざ八尾の資料館に行ったけど貸出中で、膝から崩れ落ちたことがあったから…。

京博の禅展は、祖師像とかはそれほど…という感じだったけど、鹿王院の十大弟子像がすごく良かった。表情といい、衣の表現といい、色といい。
テレビで見たことある萬福寺の羅怙羅像が。尊者のお腹の中から仏の顔がのぞいているという、やっぱ強烈な感じ。
あとは奈良から走り大黒さんが来られてて、京博のあのちょっと暗いとこで展示されてるとイケメン度がアップしてますなあ、とかそんなことを考えました。
天龍寺の本尊を担当したことで、禅宗寺院は院派仏師が優位に立ったという知識を得た。
地元浜松の方広寺から立派な仏像がいらしてて、へーこんなすごい仏像があるお寺があるんだ!と思ったら、奥山半僧坊のことだった。あーそれ遠足で山のぼったとこだ。
昔は寺も仏像も全然興味がなかったのに、今こうなってるとはな〜〜。

それから5月のGWに岡山、尾道に旅行に行った際に、福山に寄って草戸千軒ミュージアムと美術館を見ました。
ここの展示で天刑星の字が書かれたまじないの木札のとこに、参考として写真が展示されてた国宝の辟邪絵を、奈良博の信貴山縁起絵巻展で見られた。
実際に地方で信仰されてた証拠を見るのと、同じ時代にそれが絵に描かれたのを見るの、こういう風に繋がっていくのがいいよな〜と思う。
尾道では浄土寺の御開帳もよかった。

図録は龍谷の「水」と、あと去年国東でお願いしたのが届いたのと、高知のいざなぎ流の特別展の図録を通販で購入したので、おいおい読みます。

1/10 「鉄斎と蓮月」 鉄斎美術館
1/31 秋野不矩美術館
3/10 「獅子と狛犬」 京都国立博物館
3/12 「伊豆山神社の歴史と美術」 奈良国立博物館
4/27 「水 神秘のかたち」 龍谷ミュージアム
4/27 「禅」 京都国立博物館
4/28 「夷酋列像」 国立民族学博物館
5/2 ふくやま草戸千軒ミュージアム
5/2 「武田五一」 ふくやま美術館
5/21 「国宝 信貴山縁起絵巻」 奈良国立博物館
6/30 「御出現!春日大社の神獣展」 春日大社景雲殿
6/30 「和紙 近代和紙の誕生」 奈良国立博物館