當麻寺と葛城市歴史博物館

二上山 お出かけ

GWに1日くらいのんびり奈良に歩きに行きたいと思っていたところ、気になる展示があることを知って久しぶりに葛城に行くことにした。

2010年に平安遷都1300年祭に合わせて葛城古道周辺で連続的なウォーキングイベントがあり、1年かけてすべての回に参加したので、そのへんはなんとなく親しみのあるエリアという感覚がある。
あれってもう10年近く前のことになるのか。せんとくんどこ行ってしまったんや。
2010年はなんか体調が悪かったのと、収入が減って財布が逼迫してたのと、ついでにPCがぶっ壊れてこの年だけ写真データの大半が破損してしまったのと散々ななかで、ウォーキングイベントに毎月のように出かけて歩いてきたというのはけっこういい気分転換になっていた。

あべの橋で近鉄南大阪線に乗り、尺土で乗り換えて忍海駅へ。まずは駅のすぐそばにある葛城市歴史博物館に行った。
當麻寺の西塔の修理で発見された舎利容器を展示していた。

葛城市歴史博物館のポスター

(ポスター写真は後で當麻寺で撮ったもの)
西塔の心柱の最上部、水煙の下から舎利容器が発見されたという。
小さなおわんほどの金銅製の容器に銀製、金製の舎利容器が入れ子になり、水晶玉や古銭、文書、袋類などと一緒に納められていた。土の中になかったため、状態がとても良いそう。
だいたい同じ時代の国宝崇福寺跡塔心礎納置品を思い浮かべるが、あちらは塔の心礎、中心柱の礎石に穿たれた孔に納められていた。塔の心柱の最下部と最上部とはけっこうやり方が違う気がするな~。
最も内側の小さな金製の容器は崇福寺の方の金蓋瑠璃壺とよく似た形のように見えた。

容器のレプリカを作り、内容物はレプリカに入れて再び塔に納入したそうだが、中に塔を修理した各時代の古銭が納められていたけれど平成のお金は追加したのかなーとかそんなことを考えた。
まあまた奈良国立博物館あたりで見られるでしょう。

客は数人だったが歴史ガチ勢のようで熱心にメモをとってる人ばかりだった。
ついでに常設も見て、葛城地域の古墳の長持型石棺材や舟形埴輪のレプリカなど見た。
最近古代づいてるから久々に古墳とか学びなおしてみるかね~。

近鉄で当麻寺駅まで移動する。駅から降りて當麻寺方面への道のりは以前と変わっていないように見える。
途中で左に折れて、お昼ははしもと商店で瓦そばを食べた。

瓦そば

熱された瓦の上で茶そばがじゅうじゅう焼けている。
山口の名物らしいが初めて食べた。
元々バリとか皿うどんとかパリパリ麺が好きなので、焼けてパリパリになった麺がとても好みだった。上にのってる牛肉も柑橘のきいただしももみじおろしのアクセントもおいしい。
セットでついてきた練り物もとてもおいしかったので、ついついお土産にごぼう、蓮根など買い込んでしまった。
これを食べるためだけにでもまた行きたい。

お昼を済ませて當麻寺へ向かう。

お寺の藤

途中でみごとな藤を見かけた。
葛城ウォーキングで歩いたときは仏像にはまった自覚もまだない頃で、お寺の知識もほとんどなかったが、その後2013年に奈良国立博物館の「當麻寺」展を見て知識を得ている。
まずは何はなくとも本堂にお参りする。
本尊の當麻曼荼羅は博物館で何度かお目にかかっているが、本堂で拝見するのは網ごしでぼやけたとしてもとてもすばらしい体験だった。
続けて金堂で国宝の弥勒仏と四天王に再会。こちらには推しの持国天がいらっしゃる。

講堂の入り口で簡単な説明をして頂いたところによると、最初は金堂と講堂があり、本堂(曼荼羅堂)が後から建立されて當麻寺の信仰の中心となっていき、お参りの道筋も変化したそう。

當麻寺の三堂

今は門を入っていくと正面に本堂があり、右手に講堂、左手に金堂があり、もっと左手に東西の三重塔が並んでいる。
金堂に仏像の背中側から入ってぐるっと正面にまわるのはちょっと違和感がある。
当初は南門から入って東西に塔があり、手前から金堂・講堂と並んでいたと考えると薬師寺あたりと伽藍配置は似ているのか。

ウォーキングで来たときは西南院だけ入ったので、今回は奥院と中之坊に入ってみた。

當麻寺奥院

奥院は応仁の乱のときに浄土宗総本山知恩院から法然上人像を遷座して奥之院として建立されたということで、滋賀にも新知恩院を造ったというしけっこうあちこちに疎開したんだなあ。
国宝倶利伽羅龍蒔絵経箱を始め、十界図屏風や法然上人行状絵伝などおしみなく展示されていた。
庭園を歩くと牡丹は残念ながら終盤だったが白い藤がきれいだった。

當麻寺奥院の白い藤
當麻寺奥院の庭園

5月の緑にあふれて眼から癒やされる。

当麻寺西塔と東塔

東塔と修理中の西塔を一緒に眺める。

続いて中之坊へ。

當麻寺中之坊

こちらは當麻寺の開創時に役行者が熊野権現を勧請して道場を開き、奈良時代に別当の実雅がその場所を住房とし中院を開創し、代々受け継がれている。
弘仁以来真言宗。
最初に来たときは當麻寺というひとつのお寺の中にいろんな宗派があるのが不思議だったなあ。
まずは中将姫の剃髪堂にお参り。
こちらには江戸時代に片桐石州が改修した大和三名園の一つ香藕園がある。読めない。こうぐうえんと読むそう。

茶室の丸窓席も庭から見られたのでぐいぐい覗き込んできた。

茶室丸窓席

霊宝殿で中将姫の特集展示があり、主目的であった二上山が描かれた山越阿弥陀をじっくり見た。

當麻寺から出て、少し北に歩く。文晃堂という文具のお店があり、奥がカフェになっているのでここで休憩することにした。

ケーキセット

ウォーキングで来たときは素敵なお店だな~と外観を見つつも、あまり余裕がなくて(金銭的にも健康的にも)素通りしてしまったので、9年越しのアレ、なんだ、リベンジ? 
9年経ってまあまあ元気に過ごしていて、カフェにも迷わず入れるくらい余裕ができていることにしみじみした。

いいお店でした。

その後二上山を眺めつつ二上山駅までのんびり歩き、奈良に歩きに来るのはやっぱりいいな~潤うと思いつつ近鉄で帰宅。