世紀末ウィーンのグラフィック展

世紀末ウィーンのグラフィック展看板 美術館・博物館

京都国立近代美術館に「世紀末ウィーンのグラフィック」展を見に行ってきた。
世紀末のウィーンといわれて特に思い浮かべるものはないが、手に入れたチラシになんとなく惹かれるものがあった。

世紀末ウィーンのグラフィック展チラシ

展示を見て知ったが、クリムトの蔵書票だった。

ウィーン分離派は1897年にクリムトを中心に結成されたグループで、新しい造形芸術を追求し、総合芸術を志向していたそう。そのコレクションということで、その機関紙をはじめ、絵だけでなく彫刻、工芸デザイン、建築、家具、ファッションなど様々。
絵の中では、点数は少なかったがアドルフ・ベームの風景がとても好きだった。
少し抽象的というか…帰ってから他にどんな作品があるのかなーと検索したところ、オットー・ワーグナーのヴィラにアドルフ・ベームのステンドグラスがあるらしいが、確かにステンドグラスの下絵と言われるとしっくりくるような工芸的なデザインに近いような線だった。

クリムトはウィーン大学天井画のための習作と、絵の写真パネルがあった。
最近、モノクロ写真をカラー化するような技術をちらっと見かけるけれど、これもカラー化できないものかな?
それとも他の絵から、どんな色彩だったんだろうと想像していた方がいいのだろうか。

分離派のデザインを見ると、なんとなくアールヌーヴォーっぽい感じはする。
しかしフランスや他国のアールヌーヴォーと違うウィーン独自のものは何かと言うと、あまりわからなかった。
あ、クリムトでも本の装丁なんかでも、ふんだんに使われた金箔は印象的だった。
あとマリー・フォン・ウヒャティウスのステンドグラスのデザインが好き。現地に行ったらステンドグラスがいろいろあるんだろうな。

それからアドルフ・ロースの家具が2部屋分あったが、想像していたより装飾がなくモダンな感じだった。後で検索してアドルフ・ロースは装飾を批判していたと知る。
木材はかなり濃い深いいい色と木目でうっとりしたが、壁付き家具はちょっと重苦しくて息がつまる感じだったな。豪華な列車の室内とか狭いのが前提の空間でなら素敵だけれど。

あとはフランツ・ツェレツニーの人物デッサン、ベルトルト・レフラーの挿画が面白かった。白雪姫に添えられた文章を読んだら、なかなか変な人っぽい。

せっかくなのでコレクション展も見た。
「上野伊三郎とインターナショナル建築会」の部屋は、留学中にウィーン工房に入所したという上野伊三郎は京都の建築家ということもあり丁寧に見ていたら、伊東忠太の「日本建築史」の講義ノートがあって、すみずみまで読んで擬似講義気分を味わった。
デザイン図、図面、下絵などと共に実際の建築写真がスライドで流れていて、この展示方法良いなと思った。

それから河井寛次郎が20点弱。

シャガールのゴーゴリ「死せる魂」を見て、どういう話だこれはとしみじみ思った。特別展とは頽廃芸術つながりなのかなーとか。

全体の点数が多くて、外に出たら3時間くらい経っていた。
今年クリムト展があるので、この機に行ってみるかどうかというので少し迷っている。もし行くならかなり久々の豊田市美術館だ。