2017年、2018年に見た映画メモ

映画

本数は少ないが、今年見た映画をブログにまとめておこうと思ってログを見たら、去年の分がまとまってなかったので、2年分。量は多くない。
2017年に映画館で見た映画は7本、レンタルで見たのが2本だった。
ブログに書いてなかったものとしては、

『夜は短し歩けよ乙女』 湯浅政明監督/上田誠脚本
森見登美彦の小説の映画化。先にテレビでアニメ化された『四畳半神話大系』も最高に良かったので、同じ監督・脚本作品に期待大きめで見に行ったが、めくるめくお祭りの夜はやはりとても良いものだった。
原作の雰囲気が完璧に映像化されているし、星野源の先輩もイメージ通りすぎて満足。

『メッセージ』 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督
テッド・チャン「あなたの人生の物語」の映画化。謎の知的生命体とのファーストコンタクトもの。原作は昔読んでて完璧に忘れてる状態で行って、新鮮な驚きを味わった。なんといっても余韻。それからところどころで挿入された母子のやりとりが、美しく印象に残る。個人的には2017年で最高の映画。
レビューで誠実な映像化って言葉を見かけたけど、ほんとその通りに思った。

『人類遺産』 ニコラス・ゲイハルター監督
世界70ヶ所以上の廃墟がただ淡々と流れるドキュメンタリ映画。いわゆるフォトジェニックな廃墟というより、生活感の痕跡があり、人間がいなくなった後の世界を見てまわっているような印象が残った。
人間の痕跡はすぐに緑に飲み込まれ水に沈み波に攫われ砂に覆われ雪に埋もれていく。

『婚約者の友人』 フランソワ・オゾン監督
主人公の女の子のところに、戦争で死んでしまった婚約者の友人が訪ねてくるんだけれど、彼には秘密があって…という話。モノクロ映像うつくしい。
映画紹介文が「華麗なるミステリー」だったから、ここでこいつが死んで容疑者はあいつとあいつで…って見てたらそういうんじゃなかった。けど、この監督らしい心理描写が繊細な映画でした。
前に見たオゾン監督の別の作品でも思ったけど、脇役を善良に、非の打ち所がない感じに描くから、だからかれらを裏切る、秘密を持つ主人公の心理の揺れに後ろめたさが加わって、際立ってくる。

『オリエント急行殺人事件』 ケネス・ブラナー監督
アガサ・クリスティの超有名作の映画化。ケネス・ブラナーが監督兼ポアロ役。
過去に映画化されている作品の新作ということで、新しい解釈というか、ポアロクラスタとしてはポアロが……!解釈違い……!という感じに。
クリスマスにクリスティをと洒落込んで、ゴディバとコラボしていたショコリキサーも飲みに行こうとうきうきでかけたのに、あまりにも納得がいかなくて、その日のうちにシドニー・ルメット版(ポアロはアルバート・フィニー)とデビッド・スーシェ版をレンタルして帰って見た。

シドニー・ルメット版は登場人物が列車に乗り込むとこからして、キャラ付けがはっきりしてわかりやすい。ポアロの尋問も所々で鋭く突きつけていくのでさすが名探偵って惚れ惚れする。確かにこの映画が先に存在する限り、新しいものは新しい要素を付け加えざるを得ないのかなー。
デビッド・スーシェ版は、最初から最後まで薄暗い、ダークな雰囲気で、なんといっても映像美だよな〜〜〜美しい。
最後のポワロの選択は、もしかしたらこのテレビシリーズの中での連続性を考慮して捉えた方がいいのかもしれないなーと、この後に続くタイトルを見て思った。

2018年に映画館で見た映画は8本、レンタルで見たのは1本。

『ラッキー』 ジョン・キャロル・リンチ監督
テキサスで暮らす90歳のラッキー=ハリー・ディーン・スタントンをただ鑑賞する映画。友人役としてデヴィッド・リンチが出てきて、なんとなくツイン・ピークスっぽい謎めいたシーンがあったりとサービスもある。
あらすじを先に読んでいたので、もっとコテコテに泣かせにくるかと身構えてたけどそうでもなく、たまにふふっとなる感じだった。
サボテンとリクガメと、なんつっても最後にたどり着いた表情。

『いつだってやめられる』三部作 シドニー・シビリア監督
イタリアのクライムコメディ三部作。シネリーブルで6月にシリーズの2作目、8月に「Viva!イタリア」の特集で1作目、12月に3作目とかかったので、2→1→3の順番で見てしまった。
博士の資格と優秀な能力を持ちつつも定職につけない博士たちが、1作目では規制されていない新型ドラッグの作製・売買に乗り出し、2作目では逆に警察と手を組んで合法ドラッグを摘発していき、3作目では彼らと敵対する男が神経ガスのテロを企んでいることを知ってそれを阻止するために脱獄を企むという、法規スレスレだったり犯罪だったり正義の味方?だったり。
真面目で不遇な博士たちがそれっぽく振る舞ったら簡単にマフィアっぽくなっちゃったり、それでも根は博士だからとにかく皆が理屈っぽく、自分の専門用語を遠慮なくまくしたててくる学者ジョークが常に炸裂してくるのが楽しい。あとイタリア男は小金が入ったらまずジャケットを買うんだなーとか。
見ているうちに彼らのことがすっかり好きになってしまい、愛着が湧いたのでDVDボックス買います。

『カメラを止めるな!』 上田慎一郎監督
6、7月頃かな、twitterでフォローしている方の感想を見て、これはネタバレを見てしまう前に絶対に見ておいた方がいい映画な予感がする…と、その時点では大阪での公開は9月予定だったので、関西で唯一やっていた京都のイオンの映画館まででかけてきた。
いまだにネタバレせずにこれを紹介できる気がしないけれど、それぞれの役者さんがほんとにいい表情見せるし、芝居の面白さが十二分に出ていて、勢いがあって、こういう映画大好き。

『結婚演出家』 マルコ・ベロッキオ監督
ベテランの映画監督が旅に出た先のシチリア島で貴族と出会い、娘の結婚式を撮影するように依頼されるという、けれどあまりわかりやすい話ではなく、作中の引用映画とか小説とか宗教とか知識がないと理解しづらいやつ。
でもシチリア島の風景、特に舞台となる化け物屋敷のVilla Paragonia や城砦みたいな教会など、建物がどれも悪夢みたいに良かった。金目当ての娘の結婚を葬式と呼ぶ公爵も。

『ボヘミアン・ラプソディ』 ブライアン・シンガー監督
家族がクイーン好きなので見に行った。自分にとっては大学生の時に、80年代、90年代の洋楽をむっちゃ聞かせてくる先輩がいて、その中のひとつだったという感じ。
フレディ・マーキュリーを中心にクイーンの歴史のダイジェストといった感じで、話自体は簡単というか典型的な放蕩息子の帰還というかだけど、圧倒的に音楽。音楽強い。
見終わったあと、数日経って、家族が「まだ胸の中にクイーンがいるんだ」と言っていた。

あとは『オネアミスの翼』展を見に行くために、DVD借りて復習しました。

以下は2017年、2018年に見た映画の一覧。

『SMOKE』
『神聖なる一族24人の娘たち』
『夜は短し歩けよ乙女』
『メッセージ』
『人類遺産』
『婚約者の友人』
『オリエント急行殺人事件』
『大英博物館プレゼンツ 北斎』
『ラッキー』
『いつだってやめられる2 10人の怒れる教授たち』
『カメラを止めるな!』
『結婚演出家』
『いつだってやめられる 7人の危ない教授たち』
『ボヘミアン・ラプソディ』
『いつだってやめられる3 闘う名誉教授たち』