大阪市美「江戸の戯画」展と映画「北斎」

大阪市立美術館「江戸の戯画」展 美術館・博物館

派遣会社で単発の入力の仕事に行っていたのですが、会社都合で平日に1日休みになったので、お出かけしてきました。

まずは大阪市立美術館の「江戸の戯画 鳥羽絵から北斎・国芳・暁斎まで」展。

鳥羽絵というのは美術館のサイトによると、狭義では18世紀に大坂を中心に流行した軽妙な筆致の戯画を指し、その名称は国宝「鳥獣人物戯画」の筆者と伝えられる鳥羽僧正覚猷に由来するそう。

耳鳥斎という大阪の絵師の地獄絵が、鬼も、鬼にお仕置きされてる人物も苦しんでる様でもなく、なんかとぼけててとても味のある顔つきをしていて、見ていてふっと笑ってしまう。
それから国芳は前期に金魚づくしが9点揃っていて、非の打ち所がない可愛さだった。

江戸の戯画展グッズ

思わずお土産買ってしまった。

鳥羽絵を見て北斎漫画を見ると、鳥羽絵の人物がだいぶデフォルメされてるというのか簡略化されてるのに比べて、北斎の絵ってかなりリアルというか、肉も骨もあまり省略されずに描かれてる感じがする。
鳥羽絵に描かれた人物は生き生きとしてて、見ていて賑やかな笑い声が聞こえてきそうなんだけど、北斎絵だとそこからさらに絵の世界に引き込まれて、匂いとか空気感まで肌に感じそう。

それから一鶯斎芳梅の滑稽浪花名所で、人は滑稽だけど背景は江戸時代の大阪がよく分かる名所風景をずーっと眺めて、暁斎を見て、鳥羽絵がどんなふうに影響を残したかも分かったし、同じ戯画でも、それぞれの画家の表情や線の違いなんかがよく分かったと思う。

梅田に戻り、スカイビルへ。
続いてシネ・リーブルで「大英博物館プレゼンツ 北斎」を見ました。
去年、大英博物館で北斎展をやったということもありイギリスで制作された北斎のドキュメンタリ。
東京や富士山などの風景と共に日本人もけっこう出てくる。
版木を彫り、色をのせて刷る職人さんのあざやかな手つき、辻惟雄さんとか研究者、北斎漫画のコレクターの浦上満さん、北斎が信仰した柳嶋の妙見さん法性寺のご住職などなど。
なんか黒ずんだ2、30センチくらいの妙見さん?の三尊像っぽいのをごとっと置く場面があって、それがまた一瞬で、ちょっとその像もうちょっとゆっくりアップでとおねがいしたくなった。

北斎の版画が蕎麦2杯程度で買えた時代というのは今の視点だと豊かな文化に思える。
そういう大衆的な文化でこれだけ広範に影響を与え、評価されているというのもあまりないよな。

それからイギリスのキュレーターや研究者さん、芸術家達が実際に絵を見ながら具体的にどこを見てどんなふうに評価しているか。そういう話がたっぷり聞けたのも良かった。

日本では赤富士、凱風快晴が人気があるけれど、オランダのコレクターが色あせた版を持っていて、実はそれが褪色じゃなく北斎の意図した本当の色だっていう話。(映画内ではピンク富士と呼ばれていた)朝焼けの光が当たったピンク?で、富士山の中腹から下の方のグラデーションが美しいの。それが赤富士と並べて展示されていて、あれはいつかこの目でお目にかかりたいものだと思った。

それから印象的だった絵は、晩年に描かれた流水に鴨図。鴨それだけ見たら西洋画っぽい。そういう構図。それに様式化されたっぽい水のラインと日本画っぽい色彩が加わり、全体として洋風なのか和風なのか不思議な折衷になっている感じ。
あと90歳で描かれた富士山から飛び立つ龍の絵も凄かったなー。

家族が夜はゲーム会に参加だったので、合流して晩ご飯だけ一緒に食べて帰宅。