大徳寺龍光院展と三井寺法明院展

MIHO MUSEUM春のトンネル 美術館・博物館

滋賀で普段一般には公開されていない大徳寺塔頭の龍光院と三井寺北院の法明院の特別展がそれぞれあり、はしごして行ってきました。

MIHO MUSEUMに行くバスが出るJR石山駅に着き、バスターミナルの券売機でちょっとお得な往復切符と入館料のセット券を購入。
普段のバスは1時間に1本だけれど、繁忙期シーズンだからか臨時バスが出て、乗客で満載になると次々に発車する状態だったのであまり待たずに乗れました。
海外からの観光客がかなり多かったよう。
駅からバスで50分。山道を行くこともあり、MIHOに行くバスだけは普通に酔ってしまう。

新しく立体駐車場ができたからか以前と路線バスの停留所の場所が少し変わっていたようで、間違ってミュージアムでなく立駐の方に歩いていってしまった。

龍光院院主書の看板

大徳寺龍光院 国宝曜変天目と破草鞋展。
題字は住職の書だそう。

展示室の入り口には大きな写真パネルがあり、江月宗玩坐像は厨子に入り実際にお寺でするように荘厳されていて実際にお寺を訪れたような導入。
龍光院は黒田長政が父孝高の菩提を弔うために開基した塔頭。
黒田長政に開山を頼まれた春屋宗園が高齢であったため実質的な開山となった江月宗玩は、織田信長や豊臣秀吉の茶頭で三宗匠の一人と言われた津田宗及の子であり、実家の天王寺屋ゆかりの見事な茶道具が色々あった。
それから江月宗玩のもとに集まってきた狩野探幽、松花堂昭乗、小堀遠州など錚々たる人物にまつわる品々。
そりゃ最高の破草鞋があって当然すわ。
そういうわけでとても目を引く美しいものがたくさんあったのだが、その中でも特に印象に残ったのは、伝顔輝筆の十六羅漢だった。こんな生き生きとした人間味のある羅漢像があるのか、と。松花堂昭乗の十六羅漢像もこれを踏襲したのか、見ていてとても愉快。

茶道具は国宝曜変天目を筆頭に油滴天目、大井戸などいろいろあったが、特に院と同じ…黒田如水の戒名と同じ竜光の銘を持つ天目台の漆の艶に惹かれた。
もし私が物に狂わされることがあるなら、漆器だろうなとしみじみ思う。
他には牧谿の柿栗、紫衣事件にかかわった兄弟弟子の沢庵宗彭、玉室宗珀、江月宗玩の墨跡が並べられているところ、玉澗の山水図、仁清の肩衝長茶入がよかった。

龍光院には国宝の茶室「密庵」があり、そこで遠州流の宗家がお茶を点てる映像が流れていて、たぶん自分がここに入る機会は一生ない気がするので、最初から最後までじっくり見た。
「密庵咸傑墨蹟」という横長の書を中心に置いた、それのための茶室といった感じ。できたら外観、それから中もぐるりと一周見せていただきたかったな~~。お庭もあれば。
龍光院に建てた同じ小堀遠州の孤篷庵だってあの美の極地みたいな茶室でしょう。ああーやっぱりいつか実際に見てみたいわ。

下界に戻るためにトンネルをくぐった。

MIHO MUSEUMの桜並木

あまり意識したことはなかったが、エントランスからミュージアムまでの並木は桜だったみたいで、少し咲いていた。盛りはもう少し先のようだったが、それでもかなりきれいだった。

今春は国宝曜変天目が3点同時に公開されるということで、記念にクリアファイルがあったのでお土産に購入。

3つの曜変天目茶碗のクリアファイル

帰りのバスに乗る前に少しお腹に何かを入れたかったが、いつものごとくレストランは列ができていたのでパン売り場でパンを購入して食べた。
MIHOのパンは初めてだったがかなり美味しかった。今度行ったらお土産も買おうと思う。

石山駅から京阪に乗り、大津市役所前に移動して、次は大津市歴史博物館へ。

大津市歴史博物館入り口

「フェノロサの愛した寺法明院ー三井寺北院の名刹」展。
三井寺には南院、中院、北院があり、法明院は山内唯一の律宗のお寺なんだそう。
江戸時代に再興したお寺で、フェノロサやビゲローに授戒し、フェノロサのお墓がある。

博物館が調査を進めている三井寺の文献が中心で、再興から今までほんとに色々ありすぎるくらいあった法明院の歴史がよく分かる。
この文献の見せ方が大津はとてもうまいというか、わかりやすいし面白い。

三井寺独特の仏画、新羅明神や、尊星王像…この足元が蓮か龍かの違いが文献上で確認できたということで、檀図や文献があったり。
それから三井寺っていったらもちろん天台宗寺門派だけど、その中で黄檗宗のものがあったりと信仰の多様さがわかったり。
宝物では仏像や障壁画。応挙、池大雅、鶴沢探索など。
空襲の跡がありありとわかるもの、それからフェノロサの埋葬の写真などリアルに歴史がわかる資料がたくさんあって充実の展示だった。

博物館を出るとここでも桜がきれいに咲いていた。
三井寺は博物館のほぼお隣くらいにあり、せっかくの春の三井寺を素通りということもできず、でももう夕方で三井寺をがっつり歩き周る体力はなく、入り口付近だけうろうろ。

三井寺山門前の桜

疎水のほうへぶらぶら歩いてきた。

疎水沿いの桜

山の中腹の方まで桜が見えてとてもよかった。

なんだかんだで結局大津駅まで歩いてしまい、駅のスタバで地域限定というダブルチョコ&オレンジのスコーンを食べて帰宅。
美しいものを見すぎて疲れたという贅沢な1日だった。