金沢旅行3日目の朝は早くに起きて温泉に入り、朝食を食べて広い庭を散歩して、早々に旅館をチェックアウトし、駅に送ってもらった。
旅行に使っているぐるりんパスに加賀の周遊バスのキャン・バスの乗車券もついているので、3日目はそれを使い移動する。かなり本数が少ないバスの時間に合わせる形で早めの出発になった。
まずは中谷宇吉郎雪の科学館に向かった。中谷宇吉郎の出身地である片山津にある。
美術館や博物館は月曜日が休みになることが多いが、ここは毎週水曜日が休館日なので、土日月の3日間の旅行の3日目に予定していた。
旅行中梅雨入り前のぐずついた天気が続いていたが、3日目にしてようやく青空が見られた。
スロープをあがり2階から入る。設計は磯崎新。
展示室へと階段を降りてから振り返って上を見上げたところ。
エントランスの天井は雪の結晶を模したよう。
青空が見えて気持ち良いが夏場は直射日光で室温がだいぶ上がりそうと心配になった。
中谷宇吉郎のことは以前LIXILギャラリーの展覧会で見た「中谷宇吉郎の森羅万象帖」展とちょっと随筆を読んだくらいの知識しかなかったが、展示はそれなりに楽しく見た。
非常に優れた仕事は、ケンブリッジの郊外で仔猫の頭を撫でながら、ゆっくり時間をかけて(中略)楽しみながらやるのでなくては出て来ないのではないか。
なんか好感が持てる。
弟子などが中谷に贈ったという雪の結晶が描かれた蒔絵の箱。伝統工芸と科学が組み合わさっていい感じ。
スケッチも何枚かあったが、中谷は学生の頃にサントリー創業者の鳥井信治郎に学費を援助してもらっていたそうで、その縁でかウイスキーが描かれた染付皿なんかもあった。
展示を見ていたら実験を見ないかと誘われて、チンダル現象や人工のダイヤモンドダストなどの実験を見せていただいた。
理科的な実験なんて中学生以来なので(高校生の頃は完全に文系で理系科目は捨てていたので全く記憶にない)、生徒に戻った気分でけっこう楽しい。
展示室の奥には喫茶室があり、手前には中谷が調査に訪れていたグリーンランドの石が敷かれている。
潟に面した窓際の席は最高だった。
飲み物についてきたクッキーも雪の結晶と星の形。
ここを訪れる前は周遊バスの時間に合わせて出るつもりだったが、建物を見るのも実験も楽しいし、カフェもあまりに居心地がよかったのでつい1本乗り過ごして長居してしまった。
次のバスに乗って向かったのは片山津温泉の総湯。
温泉によくある共同浴場だが、設計は谷口吉生。
風呂は柴山潟に面した潟の湯と緑に面した森の湯があり、日ごとに男女で入れ替えるそうで、私達が行った日は女性風呂が潟の湯だった。湯船から潟を眺めるのは気分がいい。
外観も内側も設備もいかにも最新ですって感じなのに、実際に風呂場に入るとおばあちゃんおばちゃんらが入りにきてる地元密着のお風呂って雰囲気だった。
昼食は2階のまちカフェで食べた。おいしい。
食後のコーヒーを飲みつつ周遊バスの時間を調べると1時間近く先で、総湯から駅までは4km強。
歩けなくはない距離だが、時間と体力といろいろなものを秤にかけて、駅までタクシーで戻った。
なぜブロッコリーなんだろうなあと思いつつ特急で金沢に移動した。
帰りの特急の時間までは3時間以上あったので、バスで兼六園に行くことにした。
どこを見ても名木。
ついでに成巽閣と伝統産業工芸館には入り、また豆皿を買ってしまう。
からっぽの金の茶室。
じっさい黄金の茶室では道具は何を使ったんだろうね〜と思いつつ、金沢駅に戻りお土産を買ってサンダーバードに乗車。
車内での晩ご飯は鯖の棒ずしにした。
今回はTシャツやら豆皿やらこまごまとお土産を買い込んだが、最後に買った和菓子がとても美味しかった。
羽二重餅と、うら田の愛香菓。これはまた機会があったら食べたい。