九州旅行前夜~1日目 フェリー乗船~六郷満山展

名門大洋フェリー 美術館・博物館

2年ぶりに九州に行くことになり、安い交通手段を調べていて、今回はフェリーを使ってみることにした。
名門大洋フェリーの1便に限って、二等エコノミーなら、大阪港から門司港まで繁忙期を除いて3980円と夜行バスとあまり変わらない値段で行ける。
それに、
・風呂に入れる
・足を伸ばして眠れる
・その辺を歩き回れる
の3点でバスに勝っている気がする。
雑魚寝ではあるものの、レディースルームがあるのも安心できる。

出港1時間前に地下鉄、ニュートラムを乗り継いでフェリーターミナル駅へ。歩いて行くと次第にでっかい船が見えてきて興奮する。
トラックとかのドライバーが多いのかと思っていたら、待合室には意外とたくさん旅行客っぽい人たちがいた。中年の夫婦、家族連れが多い。どうやら世界遺産になった沖ノ島ツアーの客が一緒らしい。

時間通りに出港。
二等エコノミーはそう広くない和室で、1人に割り当てられるスペースはマットレス1枚分。
だいぶ狭い。
満席だったら、寝返りを打つのも厳しいかもしれない。
今回は同室にいたのは4人だけだったので、広さとしては余裕があった。

出港前にささっと風呂に入ってくる。夕食は持ち込んだおにぎりを部屋で軽く食べて、明石海峡大橋の下をくぐる時間帯に上の階の展望ストリートに行ってみる。

フェリーの中から見た夜の明石海峡大橋

このとき隣の椅子に座っていたおばちゃんとひとり旅サイコー!ですよね!と意気投合して、けっこう話し込んでしまった。
シベリア鉄道に乗った話を聞いた。

部屋に戻ると同室の方々はすでに寝ていたので、私も楽な格好に着替えて早めに寝ることにした。

寝床はほぼ床で固い。あと枕が高すぎる。脱いだ服で腰と頭のあたりを多少調整してなんとか寝た。
振動はずっとあるけど、揺れは瀬戸内だからかほとんど感じなかった。
耳栓は持っていって良かった。アイマスクを持っていけば良かった。
うとうとして目が覚めた時に一度耳栓を取ってみたら、振動音と、雨が時折強く降っていたのか、窓に叩きつけるような音がしていた。

4時半に音楽が流れる。風呂場の脱衣所で朝の支度をして荷物をまとめた。
定刻に門司港着。
ターミナルに出て、外の無料送迎バスに乗り込む。
6時20分頃に小倉駅に着き、駅前のマクドで朝ごはんを食べて充電をした。

6:50。
小倉駅からJRの鈍行に乗ってごとごと移動。
フェリーでも高速バスでも熟睡はできないけれど、なぜか電車だと熟睡できる。
途中で西鉄に乗り換えて、三国が丘駅に9時過ぎに到着。
九州歴史資料館までgooglemapで経路を引いたら徒歩18分と出たが、駅から三沢遺跡をのぞきつつ住宅街をつっきって行ったら近かった。

九州歴史資料館

まだ新しい立派な建物。
企画展「大宰府を探るサイエンス」は、発掘調査の手法の紹介。
X線CTで構造や素材を見たり、赤外線で肉眼では見えない墨書をはっきり見たり。
九州の古代の赤はベンガラ(酸化鉄)らしい。丹(硫化水銀)かと思ってた。
あと五ケ山の発掘速報展。古銭の分類に震える。
火輪のすみに突起がある、ちょっと宝篋印塔みたいなやつを有耳五輪塔というと覚えた。背振山の南に分布しているらしい。
9月までで行けなかった英彦山展の図録を買って移動。

三国が丘から西鉄を乗り継いで、太宰府へ。

太宰府天満宮参道にあった国立博物館のポスター

参道にのぼり(?)が立っていて博物館クラスタとしては胸熱。

せっかく来たので先に天満宮にお参りしてからエスカレーターを登っていったら、修学旅行か遠足の団体とかち合ったので、11時を過ぎていたし先に昼食を取ることにした。
九博にはニューオータニ博多のレストランが入っていて、ちょっとした贅沢気分でハンバーガープレートを注文。

九州国立博物館レストランのハンバーガーセット

パンがおいしいのと、こんな上品な味のポテト初めて食べた…。
語彙の少ない大阪人としては、「ええ油使ってた」としか言いようがない。

九州国立博物館のお目当ては企画展「六郷満山」。
部屋でコーナーを分けて、宇佐八幡宮との関わり、経塚、神像、仏像、石仏、石造物、修正鬼会と、国東半島の導入としてバランスの良い展示でした。
富貴寺の旧御本尊とか真木大堂の不動明王の脇侍とか、鬼会の里歴史資料館の御本尊、重文阿弥陀如来像とかけっこう大物が来ていた。都ぶりの平安仏と、地元仏師の仏像。

石造仏がほんと面白くて、重藤十王講の地蔵菩薩と十王像は、それぞれが個性的な顔つきでいくら見ても見飽きない。
あと應暦寺の燈明石像。太鼓を背負い支える2人の比丘の像。こんなん見たことないー。さすが国東だな!と思う。
図録を見るとこういう感じのが他に2ヶ所あると書かれてて、国東半島でも真玉地区に限られて存在するらしい。

岩戸寺の修正鬼会の映像も一通り見て、三河の花祭りと似てるようだけど、ここでは鬼が福を持ってきて、お祓いもするんだなー。
あと文殊仙寺からは異形の鬼大師さんと文殊菩薩像がいらしてた。銅製で、後補の木の獅子に乗せられている。条帛のところにつぶつぶと列点で渦巻きのような模様があって珍しい。キャプションのところに元は懸仏だったのかもみたいなことが書いてあった。

あと展示ごとにキャプションの横に、国東の地図に赤いマーカーで場所を示したものがついてて、これがわかりやすくて良かった。

国立博物館だけあって他の常設展示も見応えがあったけど、特に印象に残ったのはミャンマーの食籠。漆塗りで大きくて豪華。

特別展は「新桃山展」をやっていて、国立博物館のパスポートを持っていたしせっかくなので一巡りした。
南蛮!って感じだった。
マカオ産でメキシコで所蔵されてるという大洪水図屏風が、ノアの方舟の大洪水がまるで地獄絵みたいで、しかも豪華装飾されていて変わっていたなあ。

九博のあとは元気だったら福岡市内に出るつもりだったけれど、時間が微妙だったしちょうどいいバスが来たので市役所前までバスに乗り、観世音寺へ。
太宰府政庁あたりは初めて訪れた時からなんか好きというか相性がよくて、機会があれば寄りたい場所。

観世音寺

ちょうど巡礼ツアーの人たちが来ていて本堂は賑わっていたけど、宝蔵は独り占めだった。馬頭観音さんもしゅっとした大黒さんも毘沙門天も堪能。

そのあとJRで移動予定だったので、経路を調べて迷いつつ、結局JR二日市駅まで2.4km歩いて電車に乗った。

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